韓国ドラマ2026春:スターが動く、市場が変わる
全智賢・チ・チャンウクのファンタジーラブコメから時代劇の国際デビューまで、2026年春の韓国ドラマ業界を読み解く。日本のK-コンテンツファンが知っておくべき5つのポイント。
2027年、あなたはすでにそのドラマの配信を待っているかもしれない。
2026年4月初旬、韓国エンターテインメント業界では複数の大型プロジェクトが同時に動き出した。キャスティング情報、配信プラットフォームの戦略、そして国際映画祭への進出——これらは単なる「芸能ニュース」ではなく、K-コンテンツが次のフェーズに入りつつあることを示す動きとして読み解くことができる。
「全智賢 × チ・チャンウク」という方程式
JTBCが正式に発表した『Human x Gumiho』は、2027年の放送に向けて現在フル稼働中だ。主演は全智賢(『テンペスト』)とチ・チャンウク(『The Manipulated』)。ファンタジー・ラブコメというジャンルに、韓国を代表する二大スターを配置した本作は、演出をキム・ジョンシクPD(『No Gain No Love』)、脚本をイム・ミアリ(『君のそばに〜Doom At Your Service〜』『ビューティー・インサイド』)が担当する。
共演にはチャ・ジュヨン、カン・ユソク、キム・ジョンス、キム・ミンソクが名を連ね、カメオとしてファン・インヨプ、ソルヒョン、イ・ジェインの参加も決定している。これだけの顔ぶれを揃えながら、あえて放送を2027年に設定したのは、制作クオリティへの自信と、市場投入のタイミングを慎重に計算していることの表れだろう。
全智賢といえば、日本でも『猟奇的な彼女』や『僕の彼女を紹介します』で知られる韓国映画の象徴的存在だ。長いブランクを経てドラマに復帰した彼女の一挙一動は、韓国国内だけでなく日本や台湾のファンにとっても大きな関心事となっている。
カンヌへ——時代劇が「国際語」になる日
より注目すべきかもしれないのが、『Sacred Jewel』(旧題:Marble of God)の動向だ。高麗時代を舞台にした本格サグク(時代劇)は、2026年4月下旬に開催されるカンヌ国際シリーズフェスティバルでプレミア上映される予定だという。
主演はアン・ボヒョンとイ・ソンミン、演出は『財閥家の末息子』で知られるチョン・デユンPD、脚本はチョン・ヒョンミン(『緑豆の花』)が手がける。
ここで立ち止まって考えてみたい。カンヌへの出品は、単なる宣伝活動ではない。欧米の放送局や配信プラットフォームのバイヤーが集まる場で、韓国の時代劇を「グローバル商品」として提示するという戦略的な意図がある。『イカゲーム』や『愛の不時着』が現代劇でK-コンテンツの扉を開いたとすれば、次の挑戦は「韓国固有の歴史・文化」を世界市場に届けることだ。
プラットフォーム戦争の最前線
今回の一連のニュースで浮かび上がるもう一つの構図は、Netflix・Disney+・JTBC(地上波系)の三つ巴の競争だ。
Netflixでは、4月24日配信開始予定の『If Wishes Could Kill』(全8話)がホラー・リベンジ路線で勝負する。パク・ユンソPD(『Moving』)とパク・ジュンソプ脚本家のタッグは、すでに実績のある組み合わせだ。また、パク・ヒョンシクとパク・ギュヨン(『イカゲーム3』)が出演予定のオフィスラブ『A Proper Romance』もNetflixでの配信が有力視されている。
Disney+は4月29日に犯罪アクション『Gold Land』を投入。パク・ボヨンとキム・ソンチョルが主演を務め、密輸品をめぐるサスペンスが展開される。
そしてJTBCは、上記の2作品を自社ブランドで展開しつつ、カンヌという国際的な舞台を活用してプレステージ路線も追求している。
この競争が日本市場に与える影響は小さくない。U-NEXT、Hulu Japan、Netflix Japanなどを通じて韓国ドラマを視聴する日本のファンにとって、どの作品がどのプラットフォームで、いつ日本語字幕付きで配信されるかは切実な問題だ。配信権の獲得競争が激化するほど、日本への配信タイムラグが縮まる傾向もあり、これはファンにとってはポジティブな側面でもある。
「医療×ラブコメ」と「犯罪アクション」——ジャンルの多様化
キャスティング進行中の『Sleeping Doctor』(医療ラブコメ)や『Gold Land』(犯罪アクション)が示すように、2026年の韓国ドラマはジャンルの幅が広がっている。ファンタジー、ホラー、時代劇、医療、犯罪——これだけ多様なジャンルが同時並行で制作されているのは、特定のフォーマットへの依存リスクを分散させる業界全体の意識的な戦略とも読める。
日本のドラマ業界と比較すると、韓国の制作スピードとジャンルの多様性は際立っている。もちろん、量が質を保証するわけではない。しかし、これだけの制作ラッシュが続く背景には、グローバルな需要という確かな市場の裏付けがある。
記者
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