学校が「無法地帯」になったとき、正義は拳で語る
Netflixが7月5日に配信開始する韓国ドラマ『Teach You a Lesson』。ウェブトゥーン原作の学園アクションが問いかけるのは、制度の限界と暴力的正義の是非だ。
教師が生徒に頭を下げ、警察も手を出せない——そんな学校に、拳ひとつで乗り込む男がいる。
Netflixが2026年7月5日に配信を開始する韓国ドラマ『Teach You a Lesson』(原題:가르쳐 드리겠습니다、英語ウェブトゥーン版タイトル:Get Schooled)は、崩壊した学校秩序を舞台に、型破りな「教育権保護官」が奮闘する学園アクションドラマだ。主演は映画『Queen Woo』などで知られる実力派俳優のキム・ムヨル。共演にはジン・キジュ(『Undercover High School』)、ピョ・ジフン(『Good Partner』)、そして教育大臣役にイ・ソンミン(『Nine Puzzles』)という実力派が揃う。
「教育権保護局」という架空の装置が映すもの
ドラマの舞台は、賭博・麻薬・暴力団が学校内に浸透した近未来の韓国。既存の警察や教育行政では手に負えない状況を打開するため、教育大臣が設立した架空の政府機関「教育権保護局(ERPB)」が登場する。主人公のナ・ファジン(キム・ムヨル)はその査察官として、被害者の側に立ち——時には実力行使も辞さず——学校に秩序を取り戻そうとする。
公開されたティーザー映像では、ファジンがビルから飛び降りて落下する生徒を受け止め、頭から血を流しながらも立ち上がるシーンが映し出される。この「自分の体を盾にする正義」という演出は、近年のK-ドラマが好む「制度の外側に立つヒーロー」像の延長線上にある。『ヴィンチェンツォ』や『モデル刑事』が描いてきた「法より速い正義」の系譜だ。
原作ウェブトゥーンは韓国で長期連載された人気作だが、過去に人種差別的な描写や差別的な語句の使用が問題視され、海外版の配信停止という事態に至った経緯がある。今回のドラマ化にあたり、監督のホン・ジョンチャン(『Mr. Plankton』)と脚本家のイ・ナムギュ(『Heavenly Ever After』)がその問題にどう対処したかは、作品の評価を左右する重要な論点となるだろう。
Netflixと「学校暴力」ジャンルの深化
日本の視聴者にとって、韓国の学校暴力を描いたドラマは決して珍しくない。『ザ・グローリー』(2022年)が世界的な反響を呼んで以降、このジャンルはK-ドラマの主要な輸出コンテンツのひとつとなった。ただし『ザ・グローリー』が被害者の復讐劇を軸にした「感情の物語」だったのに対し、『Teach You a Lesson』は「制度的解決者」を主人公に据えたアクション寄りのアプローチをとっている。
Netflixの戦略という観点からも注目に値する。2026年のK-コンテンツラインナップにおいて、同社はウェブトゥーン原作作品への投資を継続的に拡大している。ウェブトゥーンは既にファンベースを持ち、ストーリーの検証コストが低い一方、原作ファンからの批評的な目線も厳しい。IP活用とオリジナル性のバランスは、プラットフォームにとっても製作陣にとっても綱渡りだ。
日本市場に目を向けると、学校を舞台にした「大人が介入して秩序を回復する」物語は、日本のドラマや漫画にも根強い人気ジャンルとして存在する(『GTO』シリーズがその代表格だ)。『Teach You a Lesson』がどこまでその文脈に共鳴し、あるいは韓国独自の社会的文脈を前景化するかは、日本での受容を左右するポイントになるかもしれない。
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