カヤ・カラス氏がロシアの主張を拒絶：2026年の和平交渉を揺るがすドローン攻撃疑惑の真相

和平への足音が近づく一方で、新たな火種が燻っています。EU（欧州連合）の外交部門トップであるカヤ・カラス上級代表は、ロシア政府が主張する「ウクライナによるプーチン大統領宅へのドローン攻撃」を、平和交渉を妨害するための「意図的な目くらまし」であると厳しく批判しました。

カヤ・カラス氏が指摘するロシアの「和平妨害」

ロシア政府は今週、ロシア北西部のヴァルダイ湖畔にあるプーチン大統領の私邸をウクライナがドローンで攻撃しようとしたと発表しました。これに対しカヤ・カラス氏はSNSを通じ、「ウクライナのインフラや市民を無差別に標的にしてきた侵略者による、根拠のない主張を受け入れるべきではない」と反論しています。

ウクライナのゼレンスキー大統領もこの疑惑を強く否定しています。彼によれば、この主張は米国主導の停戦交渉が前進しているタイミングで出されたものであり、最近行われたトランプ次期大統領との会談を含む「前向きな勢い」をロシア側が挫こうとしていることの表れだとしています。

矛盾する証拠とオデッサへの激しい攻撃

ロシア国防省は12月31日までに、撃墜したとされるドローンの映像や飛行ルートを示した地図を公開しました。しかし、ロイターやBBCの報道によると、映像の正確な場所の特定はできておらず、ロシアの調査報道メディアが現地住民に聞き取りを行ったところ、91機ものドローンが飛来した痕跡や音を確認した者は一人もいなかったとされています。

一方で、現実の被害はウクライナ全土で続いています。12月30日には南部オデッサが激しい攻撃を受け、子供を含む6名が負傷。電力インフラへの被害により17万人以上が停電に見舞われました。これはロシアによる「海の出口を封鎖する」という威嚇が実行に移されている形です。