ジェニーの「like JENNIE」が米国プラチナ認定——K-POPソロアーティストの新たな基準
BLACKPINKのジェニーの「like JENNIE」が米国RIAAプラチナ認定を取得。コラボなしソロ曲として初の快挙が示すK-POP市場の変化と、日本の音楽産業への示唆を分析します。
K-POPのグループ人気は本物だった——では、ソロは?その答えが、一枚の認定証で示された。
2026年3月、米国レコード協会(RIAA)がBLACKPINKのメンバー、ジェニーのソロ曲「like JENNIE」に対してプラチナ認定を正式に付与しました。米国内での販売・ストリーミング換算が100万ユニットを超えたことを意味します。注目すべきは、これがジェニーにとって「コラボなし」のソロ楽曲として初のプラチナ認定である点です。
グループの看板を外しても、届く声
ジェニーはこれまでにも米国市場でプラチナを獲得した実績があります。しかしそれは他アーティストとのコラボレーション楽曲でした。今回の「like JENNIE」は、純粋に彼女一人の名義で制作・リリースされた楽曲であり、その意味で今回の認定は質的に異なると言えます。
BLACKPINKは2023年の活動休止以降、各メンバーがソロ活動にシフトしています。ジェニーは自身のレーベル「OA(Odd Atelier)」を設立し、YG Entertainmentから独立した形でキャリアを構築中です。「like JENNIE」はそのOAからリリースされた楽曲であり、大手事務所のバックアップなしに米国市場で100万ユニットを達成したことは、K-POPアーティストの自立的なブランド力を示す事例として業界から注目されています。
日本市場への波紋——競争か、共鳴か
日本の音楽産業にとって、この動向はどのように映るでしょうか。
日本は長らく、グループアイドルのソロ転向に慎重な市場とされてきました。嵐やAKB48系グループのメンバーがソロ活動を行う際も、グループブランドとの綿密な調整が求められてきた歴史があります。一方でK-POPは、グループ活動とソロ活動を並行させるモデルを積極的に採用し、それが米国市場でも通用することを今回改めて証明しました。
ソニーミュージックやエイベックスなどの日本の大手レーベルは、近年K-POPアーティストとの提携を強化しています。しかし「所属事務所から独立したアーティストが自身のレーベルで米国プラチナを獲得する」というモデルは、日本の従来型マネジメント構造とは大きく異なります。アーティストの自律性とレーベルの関係性について、日本の音楽業界が再考を迫られる局面が近づいているかもしれません。
また、日本のK-POPファンにとっても、この認定は単なる祝福以上の意味を持ちます。ジェニーは日本でも強固なファンベースを持ち、彼女のソロ活動の成功は日本市場における今後のツアーや商業展開にも直結します。実際、K-POPアーティストの日本公演市場は年間で数百億円規模に達しており、ソロアーティストとしての確立は興行面でも重要な指標となります。
「個」が売れる時代のK-POP
より広い視点で見ると、今回の認定はK-POPが「グループ消費」から「個人消費」へと移行しつつある流れの一部です。BTSのRMやジン、TWICEのナヨンなど、グループ活動と並行してソロとしての市場価値を確立するアーティストが増えています。
この変化は、ファンの消費行動にも影響を与えています。グループのアルバムを集めるだけでなく、特定メンバーのソロ作品・コンサート・グッズに個別投資するファンが増加しており、K-POP産業全体の収益構造が多様化しています。ジェニーのプラチナ認定は、その流れが米国という最大の音楽市場でも機能することを数字で示した出来事です。
一方で課題もあります。グループの人気に依存せずにソロとして持続的なキャリアを築けるアーティストは、まだ限られています。「like JENNIE」の成功が再現可能なモデルなのか、それともジェニーという特異なブランド力ゆえの結果なのかは、今後の動向を見なければわかりません。
記者
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