なぜイギリス人は劇場で大声を出すのか？伝統演劇「パントマイム」の意外な熱狂
イギリスのクリスマス伝統「パントマイム」は、おとぎ話に辛口ジョークを交えた爆笑演劇。観客が叫び、笑い、参加する英国独特の劇場文化をChief Editorが解説します。
おとぎ話が下ネタに？イギリスのクリスマスを彩る「パントマイム」の意外な素顔をご存知でしょうか。静かに鑑賞するのがマナーの劇場で、観客が全力で叫び、笑い転げる不思議な光景が、毎年12月の英国各地で見られます。
無言劇ではない？「パント」と呼ばれる狂乱のステージ
日本で「パントマイム」と言えば、言葉を使わずに壁や綱を表現する芸を想像しますが、イギリスでは全く別物です。通称「パント」と呼ばれるこの演劇は、シンデレラやアラジンといった誰もが知る物語をベースにしながらも、どぎついジョークや風刺、そしてドタバタ劇を詰め込んだ「大人も子供も楽しめる喜劇」として親しまれています。
「後ろに誰かいるぞ！」観客参加が不可欠な理由
この演劇の最大の特徴は、観客の絶え間ない参加です。悪役が登場すればブーイングを浴びせ、主人公が危ない時には「後ろにいるぞ！（He's behind you!）」と会場全体で大合唱するのがお約束です。単なる鑑賞ではなく、出演者と観客が一体となって作り上げるこの形式は、地域社会の結束を強める重要な冬の行事となっています。
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