Grammarlyが許可なく専門家の名前を「AI添削」に使用
GrammarlyのAI機能が許可なく実在の編集者の名前を使用して文章添削を提供。AI時代の同意とプライバシーの新たな課題が浮上。
Grammarlyの「専門家レビュー」機能が、実在する人物の許可を得ずに、その名前でAI生成の文章添削を提供していることが判明した。この機能は8月にローンチされ、故人の教授を含む専門家からの「インスピレーション」を受けた添削アドバイスを提供するとしている。
許可なき「専門家」の登場
The Vergeの記者が実際に機能を試したところ、同メディアの編集長ニライ・パテル氏をはじめ、複数の現役編集者の名前がAI添削のコメントに使用されていることを発見した。対象となったのは編集長のデビッド・ピアース氏、シニアエディターのショーン・ホリスター氏、トム・ウォーレン氏など、いずれもGrammarlyから事前の許可を求められていない人物だった。
この「専門家レビュー」機能は、ユーザーの文章に対してAIが生成した添削コメントを、実在する専門家の視点として提示する仕組みとなっている。しかし実際には、これらの「専門家」からの直接的な指導や許可は一切得られていない。
AI時代の新たな同意問題
従来のAI学習では、公開されたテキストデータの使用が議論の中心だった。しかしGrammarlyのケースは、個人の専門性や評判そのものをAIサービスの「ブランド」として活用する新しい形の問題を提起している。
特に注目すべきは、故人の教授まで「専門家」として含まれている点だ。これは死後の人格権やデジタル遺産の管理という、まったく新しい法的・倫理的課題を浮き彫りにしている。日本でも類似のサービスが登場した場合、著名な学者や編集者の名前が無断使用される可能性は十分にある。
日本企業への示唆
日本の大手IT企業も文章添削AIの開発を進めている。ソニーやパナソニックなどが展開するAIサービスでも、専門家の権威を借りた機能追加は魅力的に見えるだろう。しかし今回の事例は、技術的に可能なことと倫理的に許可されることの間に大きな溝があることを示している。
日本社会では「顔」や「名前」への敬意が特に重視される。無断で専門家の名前を使用することは、技術革新以前に社会的信頼を損なう重大なリスクとなる可能性が高い。
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