幽霊が見える弁護士が、日本ドラマファンの心を掴む理由
韓国ドラマ「ファントム・ロイヤー」第3・4話レビュー。ユ・ヨンソク主演の法廷×オカルトドラマが描く笑いと涙の絶妙なバランスを、日本の視聴者視点で深読みします。
弁護士が幽霊を見える——それだけで、このドラマは「普通の法廷もの」ではないと気づくはずです。
ユ・ヨンソク主演の韓国ドラマ「ファントム・ロイヤー(Phantom Lawyer)」は、第1・2話の好評な滑り出しを経て、第3・4話でさらに深みを増してきました。主人公のシン・イラン(ユ・ヨンソク)は、ひょんなことから霊が見える体質になってしまった新米弁護士。まだ経験も自信も足りない彼が、迷える魂たちと向き合いながら少しずつ成長していく——そんな物語の核心が、今週の2つのユーモラスなシーンと3つの感情的な場面にぎゅっと凝縮されていました。
笑いと涙が共存する、この絶妙なバランス
第3・4話が視聴者から高く評価されている最大の理由は、「笑える場面」と「泣ける場面」が不自然に混在するのではなく、まるで一つの感情の流れとして繋がっている点にあります。
コメディパートでは、幽霊が見えることで引き起こされるシン・イランの的外れな行動や、周囲との認識のズレが丁寧に描かれています。法廷という厳粛な場所で起きるドタバタは、緊張感を和らげるだけでなく、主人公の「まだまだ未熟さ」を愛らしく見せる効果を果たしています。日本のドラマでも、たとえば「古畑任三郎」や「相棒」シリーズが持つ「ちょっとズレた主人公の魅力」と通じるものを感じる方も多いのではないでしょうか。
一方、感情的な場面では、依頼人となる霊たちが生前に抱えていた後悔や、残された人々への想いが丁寧に掘り下げられます。「なぜ成仏できないのか」という問いは、実は「人は何のために生きるのか」という普遍的なテーマと直結しており、視聴者の胸に静かに刺さります。第3・4話ではとりわけ、ある依頼人の霊が抱えた「言えなかった言葉」が感情的なクライマックスとなり、多くのファンがSNSで「泣いた」と報告しています。
ユ・ヨンソクという俳優が持つ「等身大の説得力」
ユ・ヨンソクは、映画「国際市場で逢いましょう」や「ビューティー・インサイド」で韓国国内外のファンを獲得し、日本でも根強い人気を誇る俳優です。彼がこのドラマで体現しているのは、「スーパーヒーロー的な弁護士」ではなく、失敗しながら学んでいくリアルな人物像。その「不完全さ」こそが、視聴者が感情移入しやすい理由の一つでしょう。
日本の視聴者にとって、この「不器用だけれど誠実な主人公」像は非常に親しみやすいキャラクタータイプです。韓国ドラマが時に持つ「完璧すぎる主人公」への距離感を感じていた方にも、シン・イランというキャラクターは新鮮に映るかもしれません。
K-ドラマが「超自然×社会問題」を組み合わせる理由
ここ数年、韓国ドラマでは「超自然的な設定を使って現実の社会問題を描く」手法が増えています。「ビッグマウス」「ムービング」「マイ・デーモン」など、ファンタジーやSFの衣をまといながら、格差・司法・家族・孤独といったテーマを掘り下げる作品が相次いでいます。
「ファントム・ロイヤー」もその流れの中にあります。幽霊という非現実的な存在を通じて描かれるのは、「生きている間に声を上げられなかった人々の物語」。法廷という制度的な場所が、現実では救えなかった人を救う空間として機能するという構造は、司法制度への信頼と不信が混在する現代社会への静かな問いかけでもあります。
日本社会においても、「声を上げにくい文化」「制度の網の目からこぼれ落ちる人々」という問題は決して他人事ではありません。だからこそ、このドラマのテーマは日本の視聴者にも深く響く可能性を持っています。
記者
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