トランプ政権の「クリックタトルシップ」:SNSが政治を支配する時代
トランプ政権高官がSNS投稿で政策を決定し、権威主義とソーシャルメディアが融合した「クリックタトルシップ」の実態を分析。日本への影響も考察。
47%の日本人がSNSで政治情報を得る時代、アメリカでは政府高官がツイートで政策を決める「クリックタトルシップ」が現実となっている。
国境警備隊司令官の失脚が示すもの
グレゴリー・ボヴィーノは、ドナルド・トランプのミネアポリス取り締まりの顔として知られていた。しかし、彼が監督する捜査官がアレックス・プレッティを射殺した後、国境警備隊の「総司令官」の職を失った。さらに重要なのは、彼のXアカウントも失われたことだ。
プレッティが死亡した後の2日間、ボヴィーノは射殺を非難する民主党議員を執拗に煽り続けた。エリック・スウォルウェル下院議員がICE職員に抗議として職場放棄を呼びかけた際、ボヴィーノは「君にも同じことを考えていた」と返信。深夜1時には、スウォルウェルを嘲笑するユーザーに「もう二度とビールを買わなくていい」と言われ、「笑!🍺🍻🍺🍻🍺🍻」と応じていた。
Xでの発言権を失うことは、トランプ政権の高官にとって最悪の職業的運命だ。それは、ソーシャルメディア優先の世界観と権威主義的傾向を上から下まで融合させた政権において、もはや彼がプレイヤーではないことを意味する。
「クリックタトルシップ」の誕生
政治任用者たちは、オンラインプラットフォームを単なるコミュニケーション手段として使っているのではない。彼らの判断と意思決定は、極右インターネットで起きていることに過度に反応している。すべてをコンテンツとして捉えているのだ。
この現象を最もよく体現しているのが大統領自身だ。トランプはソーシャルメディア経由で政策発表を日常的に行う。8月には、Truth Socialで連邦準備制度理事会メンバーのリサ・クックを解雇しようとした。最高裁でクックの上訴権について質問された政府弁護士は、クックは単にTruth Socialで自分の主張を展開すればよいと示唆した。クリックタトルシップでは、適正手続きは投稿する権利に縮小される。
政権の公式ソーシャルメディアは極右の外国人排斥ミームを発信し、手錠をかけられた不法移民のASMR動画で強制送還を祝っている。プレッティ殺害の数日前、ホワイトハウスはミネソタ州の教会での抗議後に逮捕された女性の画像を投稿した。その画像は、おそらく生成AIを使って、逮捕者が制御不能に泣いているように編集されていた。
日本への波及効果
この「クリックタトルシップ」現象は日本にも影響を与えている。ソニーやトヨタなどの日本企業は、アメリカ政府の政策がSNS投稿で突然変更されるリスクに直面している。従来の外交チャンネルや業界団体を通じた予測可能な政策決定プロセスが機能しなくなっているのだ。
日本政府も対応を迫られている。外務省は24時間体制でトランプ政権高官のSNS投稿を監視し、政策変更の兆候を探っている。これは、戦後日本の対米外交史上、前例のない事態だ。
権威主義とSNSの危険な融合
投稿者脳と権威主義は相互に強化し合う。両者とも陰謀論で繁栄し、抑制を欠き、極端な解決策に飛びつく。トランプ政権高官は、ソーシャルメディアインフルエンサーニック・シャーリーの福祉詐欺に関する主張を根拠に、5つの民主党州への数十億ドルの援助打ち切りを正当化した。
政府予算案や戦略文書も今やTruth Socialの投稿のように読める。ホワイトハウスのウェブサイトは、オバマ大統領がテロリストを招待したと主張し、ハンター・バイデンがホワイトハウスでコカインを持っていたと推測し、「真の反乱を起こしたのは民主党だった」と述べている。
泡の破裂
しかし、泡はいずれ弾ける。トランプ政権はレニー・グッド殺害後、捜査官が正当防衛で行動していたと統一戦線を維持した。多くの政権高官がプレッティ殺害後も同じ戦術を試みたが、この作り話は持ちこたえなかった。
ミネアポリスで起きていることを記録するために身体を張った人々が、貴重な真実を明らかにした。クリックタトルシップを可能にする同じツール、スマートフォンが、それに対抗するためにも使われうるのだ。
記者
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