史上最高を更新した『鬼滅の刃 無限城編』、ufotableが語る世界的人気の舞台裏

アニメ界の勢力図が完全に塗り替えられました。2025年、ハリウッドが劇場動員数の減少に悩む中、アニメ映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』が全米および世界で史上最高興行収入を記録する快挙を成し遂げました。さらに、アニメ制作会社ufotable作品として初となるゴールデン・グローブ賞のアニメ映画賞にもノミネートされ、名実ともに世界の映画界の主役へと躍り出ました。

「量より質」を貫く制作陣の哲学

Entertainment Weeklyのインタビューに応じた外崎春雄監督、撮影監督の寺尾優一氏、そして近藤光社長は、この成功の裏にある一貫したビジョンを語りました。近藤社長は、国際的な成功を受けて制作本数を増やす可能性について、「より多くのプロジェクトに参加したい気持ちはあるが、何よりも観客が楽しみ、共感できるアニメを作ることが、量よりも優先される」と強調しました。20年前から変わらない「最高の映像を届ける」という使命感が、今回の数字に繋がったと分析しています。

2Dと3Dが融合する「無限城」の視覚的挑戦

今作の舞台となる無限城は、重力や現実を無視した複雑な構造を持っており、その表現には高度な技術が投入されました。寺尾氏は、大画面での視聴を前提に、背景の細部に至るまで高解像度で描き込み、キャラクターの表情一つひとつが遠くからでも認識できるよう配慮したと述べています。特に2Dアニメーションと3D環境を完全に同期させるため、作画の前に3D空間でのテストを繰り返すという、極めて複雑なパイプラインが採用されました。

注目を集めた猗窩座（あかざ）の戦闘シーンでは、彼の悲劇的な過去とシンクロするように、制作スタッフも精神を研ぎ澄ませて作業に当たったといいます。外崎監督は、三部作の第2部について「現在ufotableの全員が懸命に制作に取り組んでいる」とし、続報を待ってほしいとファンに呼びかけました。