トランプ政権、国土安全保障省長官を電撃交代
ノエム長官の辞任とマリン上院議員の後任指名。移民政策強化の裏で何が起きているのか。
53人。これは昨年、米国の移民・税関捜査局(ICE)や税関・国境警備局(CBP)の拘留施設で死亡した人数です。記録的な数字の背景で、国土安全保障省(DHS)のトップが電撃的に交代することになりました。
ドナルド・トランプ大統領は3月3日、クリスティ・ノエム長官を解任し、後任にマークウェイン・マリンオクラホマ州上院議員を指名すると発表しました。ノエム氏は新設される「西半球安全保障イニシアチブ」の特使に転任します。
物議を醸した在任期間
ノエム長官の在任期間は、論争の連続でした。最も深刻だったのは、ミネアポリスでの連邦捜査中に米国市民2人が死亡した事件です。レニー・グッド氏とアレックス・プレッティ氏が連邦捜査官によって射殺されましたが、ノエム氏は両名を公然と「国内テロリスト」と呼びました。
しかし、ビデオ証拠や証人の証言、独立した検死結果は、当局の主張と矛盾していました。特にプレッティ氏のケースでは、当初「銃器を振り回した」とされていた主張が覆されています。
強硬な移民政策の実行も物議を醸しました。2025年5月に発令された秘密政策指令では、ICE捜査官が司法令状なしに民間住宅に強制立ち入りすることを認可。この政策により、間違った家への突入事件が相次ぎ、1月のミネソタ州での事件では、正当な理由なく米国市民が銃を突きつけられて連行されました。
省庁間の軋轢と予算問題
ノエム氏の管理手法は、DHS内部でも問題となっていました。10万ドル以上の契約や助成金をすべて自身が承認するという方針により、連邦緊急事態管理庁(FEMA)では1,000件以上の契約や助成金が滞留。災害対応能力の低下を招いていました。
一方で、ノエム氏は380億ドルの予算を投じて全米24カ所の倉庫を大規模拘留施設に転用するプロジェクトを推進。国境警備の「成果」を数字で示すことに執着していたとされます。
新長官マリン氏の横顔
後任のマークウェイン・マリン上院議員は、配管工事業の経営者から総合格闘技選手、そして政治家へと異色の経歴を持つ人物です。下院議員を10年務めた後、2022年に上院議員に当選。トランプ氏の「MAGAウォリアー」として知られ、政権の強硬政策を一貫して擁護してきました。
興味深いのは、トランプ氏がノエム氏の解任を決断したタイミングです。議会での2日間にわたる激しい公聴会の直後で、共和党議員からも辞任要求が出ていました。特に、ノエム氏を中心とした2億ドルのDHS広報キャンペーンについてトランプ氏の事前承認があったと証言したことが、大統領の逆鱗に触れたとされています。
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