AIが暴く企業ITの「つぎはぎ問題」
企業の48%がデジタル投資で期待する成果を得られない中、AI時代に向けて統合プラットフォームへの移行が加速している。日本企業への影響を分析。
企業のCIOの48%が、現在のデジタル施策が期待する成果を達成していないと回答している。数十年にわたって積み重ねてきた「その場しのぎ」のIT解決策が、いよいよ限界を迎えているのだろうか。
つぎはぎだらけのIT環境
企業は長年、ビジネス環境の変化に対してその都度新しいテクノロジーで対応してきた。インフラコストを抑えるためにクラウドサービスを導入し、スマートフォンの普及に合わせてモバイルアプリを展開し、リアルタイムでの可視性が必要になればIoTシステムを追加した。
個別には効果を発揮したこれらのソリューションも、積み重なるにつれて複雑な接続網を形成していく。SAP Integration Suiteの最高製品責任者であるアヒム・クライス氏は「断片化されたIT環境では、エンドツーエンドのビジネスプロセスを把握・制御することが困難になります」と指摘する。
監視、トラブルシューティング、ガバナンス──すべてが複雑化し、維持コストは膨らみ続ける。多くの企業が、まさにITエコシステムというよりも「その場しのぎの寄せ集め」状態に陥っているのが現状だ。
AI時代が要求する新たな基準
この問題は、企業がAI導入を本格化させる今、新たな意味を持つようになった。生成AI、機械学習、エージェントAIなど、AIが日常業務に組み込まれるにつれ、システムには従来の何倍ものデータ量を、より高速に、より緊密な連携で処理することが求められている。
2025年の調査では、運用責任者の多くが「統合の複雑さ」と「データ品質の問題」を投資効果が期待通りに現れない主要因として挙げている。つまり、AI時代の到来は単に新しい技術の導入ではなく、既存のIT基盤そのものの再構築を迫っているのだ。
統合プラットフォームへの移行
企業は今、散在する統合ツールから脱却し、エンドツーエンドの統合プラットフォームへと舵を切り始めている。データがビジネス全体をどう流れるかが、そこから生み出されるインサイトと同じくらい重要になったからだ。
日本企業にとって、この変化は特に重要な意味を持つ。トヨタの「カイゼン」文化やソニーの技術統合力など、日本企業が培ってきた強みを活かしつつ、AI時代に適応した新しいIT基盤を構築する必要がある。労働力不足が深刻化する中、効率的なシステム統合は競争力維持の鍵となるだろう。
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