中国不動産市場、2026年に向け都市別対策を強化へ 地方政府に権限委譲で在庫解消目指す
中国政府は、経済の足かせとなっている不動産市場の安定化を目指し、2026年から地方政府に都市別の在庫解消や供給最適化の権限を委譲する方針です。倪虹住宅相が明らかにしました。
中国政府は、世界第2位の経済大国である同国の経済成長の足かせとなっている不動産市場を安定させるため、来年から地方政府に各都市の状況に応じた権限を与え、住宅の過剰在庫の解消と供給の最適化を進める方針を明らかにしました。
中央から地方へ：政策決定の権限委譲
住宅都市農村建設部の倪虹（ニー・ホン）部長は、2日間にわたる業務会議の席で、この新たな方針を表明しました。これにより、各市政府は不動産市場の規制においてより大きな裁量権を持つことになります。
市政府は不動産市場の規制における自主性を最大限に活用し、状況に応じて適切に政策を調整・最適化すべきだ。
— 倪虹・住宅都市農村建設部長
狙いは市場の安定化
この政策転換の背景には、中国経済全体に長期的な影響を及ぼしている不動産不況があります。中央政府が画一的な規制を課すのではなく、各都市の実情を最もよく理解している地方政府が、より柔軟かつ効果的な対策を講じることを期待しているものと見られます。過剰な住宅在庫を抱える都市では販売促進策を、供給不足が懸念される都市では供給計画の最適化を進めるなど、きめ細やかな対応が可能になります。
これまで中国の不動産政策は、過熱を抑制するために中央政府主導で厳しい規制が課されることが一般的でした。今回の権限委譲は、画一的な引き締めから地域ごとの調整へと、政策の舵が大きく切られたことを示唆しています。
地方への権限委譲は、より迅速で的確な市場対応を可能にする一方で、地方政府間の政策競争や、過度な規制緩和による新たなバブル発生のリスクもはらんでいます。中央政府が地方の政策実行をどう監督し、マクロ経済全体の安定を維持できるかが、この政策の成否を分ける鍵となるでしょう。
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