宇宙太陽光発電、中国が地上実証で新段階へ
中国・西安電子科技大学が複数の移動目標へ同時にキロワット級の無線電力伝送に成功。宇宙太陽光発電所実現への地上検証が新段階に入った。日本のエネルギー政策や宇宙開発への示唆を読む。
電力を「飛ばす」時代が、少しだけ近づいた。
中国・陝西省西安にある西安電子科技大学のチームが、複数の移動する目標に対して同時にキロワット級の無線電力を送ることに成功したと発表しました。国営通信社新華社が伝えたこの成果は、宇宙空間に巨大な太陽光パネルを浮かべ、地球へ電力を送り届けるという「宇宙太陽光発電所(SBSP)」構想の実現に向けた、一つの節目として注目されています。
何が起きたのか――75メートルの塔で何を試したか
実験の舞台は、同大学に建設された高さ75メートルの専用タワーです。シニアエンジニアの段宝岩氏が率いるチームは、このタワーを中心に、エネルギー伝送プロセス全体を宇宙へ持ち出す前に地上で検証するためのプラットフォームを2022年に完成させていました。今回の発表はその延長線上にあります。
今回の試験では、マイクロ波ビームを使って約100メートルの距離で1,180ワットの電力を複数の移動目標へ同時に伝送することに成功しました。さらに、時速30キロメートルで飛行するドローンが約30メートルの距離から143ワットを受け取るという実証も行われています。全体的な無線電力伝送効率は20.8%、つまり送り出した電力の約5分の1が、実際に使えるエネルギーとして届いた計算になります。
ここで一つ、比較として押さえておくべき数字があります。NASAのジェット推進研究所が1975年に行ったマイクロ波電力伝送実験では、効率54%を達成しています。ただしその実験は、固定された標的に対して厳密に制御された環境下で行われたものでした。今回の中国の実験は効率こそ低いものの、「複数の移動目標へ同時に」という条件のもとで実施された点が、技術的な新しさとして評価されています。
なぜ今、この技術が重要なのか
宇宙太陽光発電の構想自体は、1968年にアメリカの工学者ピーター・グレイザーが提唱して以来、半世紀以上にわたって「夢の技術」であり続けてきました。宇宙空間では昼夜や天候に関係なく太陽光を受け取れるため、理論上は地上の太陽光発電とは比較にならない安定した電力供給が可能です。しかし、打ち上げコストや伝送効率、国際的な安全基準など、乗り越えるべき課題は山積みのままです。
それでも今この技術が注目を集めるのは、エネルギー安全保障をめぐる世界的な緊張感が高まっているからでしょう。ロシアによるウクライナ侵攻以降、化石燃料への依存リスクが改めて可視化され、各国が「自国で完結するエネルギー源」を模索する動きが加速しています。日本にとっても、エネルギー自給率が約13%(2023年度)にとどまる現状は、長年の課題です。
中国はこの分野に国家戦略として取り組んでいます。2035年までに低軌道での実証衛星打ち上げ、2050年までに商業運用開始という目標を公式に掲げており、今回の地上実証はその工程表の中に位置づけられています。
日本への示唆――追いかける側か、協調する側か
日本ではJAXA(宇宙航空研究開発機構)や三菱電機などが宇宙太陽光発電の研究を継続しており、2025年には小規模な宇宙実証実験も行われています。技術的な蓄積は決して少なくありませんが、国家予算の規模や開発スピードという点では、中国との差が広がりつつあるという見方もあります。
一方で、この技術が実用化された場合、誰がその電力を「受け取る権利」を持つのかという問題は、純粋な技術論を超えた地政学的な問いになります。宇宙空間からのマイクロ波ビームは、理論上は地球上のどこへでも向けられます。それは「エネルギーの民主化」になりうる一方で、新たな依存関係や安全保障上のリスクを生む可能性も否定できません。
また、日本の製造業の視点からも注目点があります。高精度なビーム制御技術や、受電側のアンテナ(レクテナ)技術は、宇宙太陽光発電だけでなく、ドローンへの空中給電や電気自動車の非接触充電など、地上での応用にも直結します。中国がこの分野で標準化を主導するようになれば、関連部材や制御システムのサプライチェーンにも影響が及ぶかもしれません。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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