「死の淵から生還した」伝説の喜劇俳優チェビー・チェイス、空白の8日間と心不全の真実

「彼は文字通り、死の淵から戻ってきたのです」――。アメリカを代表するコメディアン、チェビー・チェイスが、2021年に深刻な心不全を起こし、8日間もの間昏睡状態に陥っていたことが明らかになりました。これは2026年1月1日にCNNで放送予定の最新ドキュメンタリー番組『I’m Chevy Chase and You’re Not』の中で、家族や本人によって語られた衝撃の事実です。

突然の心停止と「拡張型心筋症」の診断

妻のジェイニー・チェイスによれば、当時のチェビーは体に異変を感じていたものの、それを言葉で説明できない状態だったといいます。救急外来を訪れた際、映画『キャディシャック』などで知られるスターの心臓は停止しました。原因は長年の飲酒による拡張型心筋症（Cardiomyopathy）でした。これは心臓の筋肉が弱まり、全身に血液を送り出す力が低下する病気です。

医師からは「最悪の事態に備えてください」と告げられ、家族は絶望の淵に立たされました。しかし、昏睡から目覚めた彼は、看護師に対して彼らしいジョークを飛ばし、周囲を驚かせたといいます。その瞬間を娘のケイリーは「新しい生命の誕生のようだった」と振り返っています。

生還の代償とコメディ界での孤立

奇跡的な生還を果たした一方で、現在のチェビーには重大な「記憶の欠落」という後遺症が残っています。ドキュメンタリーの中では、彼が過去に起こしたトラブルや、人気ドラマ『コミ・カレ！！（Community）』降板の経緯について問い詰められる場面がありますが、記憶の壁が大きなハードルとなっています。

また、彼は2025年初頭に行われた『サタデー・ナイト・ライブ（SNL）』の50周年記念式典に招かれなかったことに対し、「なぜ自分だけが外されたのか」と悲しみを露わにしています。かつての「気難しい天才」も、死を意識した今、自らのキャリアとレガシーの再構築に向き合おうとしています。