氷点下20度のヘアアート。カナダ名物「髪凍らせコンテスト」の勝者が決定
カナダ・ユーコン準州のタキニ温泉で毎年開催される「髪凍らせコンテスト」。氷点下20度の寒さの中、温泉で髪を凍らせて作る奇抜なヘアスタイルの受賞者が決定。その歴史と成功の秘密に迫ります。
温泉と極寒が生む冬の奇祭
カナダ・ユーコン準州ホワイトホースにあるタキニ温泉(Takhini Hot Pools)で、毎年恒例のユニークなコンテスト「国際髪凍らせコンテスト」の最新の受賞者が発表されました。摂氏42度の温かい温泉に浸かりながら、氷点下20度以下の極寒の外気で濡れた髪を凍らせ、その独創性を競うこのイベントには、今年288人が参加。最終的に5つの部門で優勝者が選ばれました。
「男性部門」「女性部門」「グループ部門」「ティム・ホートンズ・最優秀クリエイティブ部門」「農心ヌードル・ピープルズチョイス部門」の各優勝者には、賞金2,000カナダドル(約21万円)と温泉の無料招待券が贈呈されます。
小さな遊びが世界的なイベントへ
このコンテストはどのようにして始まったのでしょうか。タキニ温泉のオーナーであるアンドリュー・アンブリッチ氏によると、始まりは2011年のささやかなものでした。
「コンテストが始まった当初、応募は年に10件ほどでした。しかし2015年にバイラル化して以来、参加者は急増し、賞金も年々増額しています」
アンブリッチ氏によれば、2015年の賞金はわずか150カナダドルだったと言います。このユニークなコンテストが可能なのは、世界でも珍しい立地条件のおかげです。「アイスランドでさえ、ここまで安定して氷点下20度以下になることは稀です」と彼は説明します。温かい温泉と極寒の外気の大きな温度差が、この奇跡的なヘアアートを生み出すのです。
写真が世界を駆け巡る
2015年以降、コンテストの写真は世界中のニュースや新聞、雑誌で取り上げられ、その知名度は飛躍的に高まりました。「『hair freezing contest』で検索すると、何百ページも私たちのコンテストの記事で埋め尽くされるほどです」とアンブリッチ氏は語ります。
このイベントは単なる楽しみだけでなく、地域貢献の側面も持っています。今年の大会では、参加登録1件につきインスタントラーメンが地元のフードバンクに寄付される仕組みも導入されました。アンブリッチ氏は、来年にはスポンサーを増やし、各部門の賞金を5,000カナダドル以上に引き上げたいと意気込んでいます。
PRISM Insight: 「髪凍らせコンテスト」は、極めてローカルな自然現象をSNS時代のバイラルコンテンツへと昇華させた好例です。単なる奇抜なイベントではなく、地域の観光資源を巧みにブランディングし、参加者の創造性を引き出すことで世界的な注目を集める「体験型マーケティング」の成功モデルと言えるでしょう。
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