CBSニュース、トランプ政権に忖度か エルサルバドル刑務所特集が放送直前に中止、内外から批判殺到
CBSニュースの人気番組「60ミニッツ」が、トランプ政権が移民を送還したエルサルバドルの刑務所に関する特集を放送直前に中止。社内外から「政権への忖度」との批判が噴出している。新経営陣の意向が働いたのか、報道の自由が問われる事態に。
米大手テレビ局「CBSニュース」の経営陣が、看板報道番組「60ミニッツ」で放送予定だった特集を直前に中止させたことを受け、政治的介入だとの批判が巻き起こっています。問題となったのは、トランプ政EH権が移民を送還しているエルサルバドルの物議を醸す刑務所に関する調査報道で、報道機関内外から、政権の歓心を買うための検閲行為ではないかとの厳しい声が上がっています。
放送数時間前の「政治的」な中止判断
批判が高まったのは12月23日月曜日のことでした。前夜に放送が予定されていた、エルサルバドルの最高警備刑務所「テロリズム監禁センター(CECOT)」での人権侵害疑惑を追った特集「CECOTの内側」が、放送のわずか数時間前に取りやめとなったのです。
この突然の決定に対し、CBSニュースの広報担当者は「追加の取材が必要だった」とメールで説明。番組のソーシャルメディアでも「将来の放送で流す予定」との声明が出されました。しかし、担当したシャリン・アルフォンシ記者が同僚に送ったメールがメディアにリークされ、事態は新たな局面を迎えます。
アルフォンシ記者はメールの中で、「私たちのレポートは5回も試写され、CBSの弁護士と『基準・慣行部門』の両方から承認を得ていました」と主張。「事実として正確です。あらゆる厳格な内部チェックをクリアした今、これを中止するのは編集上の判断ではなく、政治的な判断です」と断じました。さらに彼女は、「政権が取材協力を拒否したことが、報道を中止する正当な理由になるのなら、私たちは彼らにとって不都合な報道をいつでも葬り去れる『キルスイッチ』を渡してしまったも同然です」と強い懸念を表明しました。
新経営陣の下で強まる「親トランプ」色
今回の放送中止は、CBSが保守的なトランプ政権寄りの編集路線に舵を切っているとの批判が強まる中で起きました。CBSの親会社パラマウントを8月に買収したスカイダンス・メディアのCEO、デビッド・エリソン氏は、昨年の大統領選でトランプ氏の主要献金者だったラリー・エリソン氏の息子です。買収の規制当局承認にあたっては、CBSニュースが米国の視聴者の「多様なイデオロギー的視点」を反映させるとの公約もなされていました。
さらに10月、同社は親イスラエル的な立場で知られ、「ウォーク(意識高い系)」政治を頻繁に批判する保守派のメディア人、バリ・ワイス氏をCBSニュースの編集長に任命。これが、局をトランプ政権寄りの方向に導く動きの一環だと見られています。
ワイス氏自身はニューヨーク・タイムズ紙への声明で、「準備が整えばこの重要な特集を放送する」と述べ、「十分な文脈を欠く、あるいは重要な声が欠けているなど、どんな理由であれ準備不足の報道を見送ることは、どの報道機関でも日常的に行われている」と、決定の重要性を軽視する姿勢を見せました。しかし、「60ミニッツ」の製作総指揮者であるターニャ・サイモン氏は、ワイス氏の命令に抵抗したものの「最終的に従わざるを得なかった」と部下に語ったと報じられています。
疑惑の「メガ刑務所」の実態とは
中止された特集は、サンサルバドルの南東75kmのジャングル地帯に位置する巨大刑務所CECOTを扱ったものでした。ここはエルサルバドルの右派、ナジブ・ブケレ大統領が麻薬組織撲滅策の象徴として喧伝する施設です。
この施設は今年3月以降、米国の主要な訴訟の焦点となっています。トランプ政権が、米国への送還を命じる判事命令に反して、数百人ものベネズエラ人などの移民をここに送ったためです。その後解放された複数の送還者や人権活動家は、収容者が残忍な扱いを受け、拷問が行われていると証言しています。なお、CBSが放送を中止したにもかかわらず、特集はカナダのテレビアプリで配信されてしまったと見られ、月曜日にはオンライン上で拡散しました。
今回の事態は、メディアの所有構造と編集の独立性との間に高まる緊張関係を浮き彫りにしています。巨大メディア企業が統合を進め、事業拡大のために政権与党の規制当局からの承認を求める中で、ビジネス上の利益を守るための自己検閲リスクが増大します。これは、現代の政治状況における報道の自由を問う、重要なケーススタディと言えるでしょう。
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