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AI用語辞典:初心者のための完全ガイド(2025年版)
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AI用語辞典:初心者のための完全ガイド(2025年版)

AI、LLM、GPT、プロンプトなど、2025年に知っておくべきAI用語を初心者にもわかりやすく解説します。

ChatGPTに質問し、AIが描いた絵を楽しみ、プロンプトを工夫する時代になりました。でも、LLM、トークン、ハルシネーションといった用語が出てくると、ちょっと戸惑いませんか?この記事では、2025年のAIを理解するために必要な基本用語を、わかりやすく整理してお伝えします。

基礎概念:AIの土台を理解する

AI(人工知能)

人間の知能を模倣し、学習・推論・問題解決を行うコンピュータシステムのことです。チェスをするプログラムから自動運転車、ChatGPTまで、すべてAIの範疇に入ります。AIは大きく「弱いAI(特定のタスクのみ実行)」と「強いAI(人間レベルの汎用知能)」に分けられますが、現在私たちが使っているのはほとんどが弱いAIです。

機械学習(マシンラーニング)

AIの中核技術で、明示的なプログラミングなしにデータからパターンを学習する方式です。例えば、何千枚もの猫の写真を見せると「猫はこういうものだ」と自分で理解します。従来のプログラミングが「この条件ならこうしなさい」と一つ一つ指示するのとは対照的です。

ディープラーニング(深層学習)

機械学習の一種で、人間の脳の神経回路を模倣した「人工ニューラルネットワーク」を使用します。「ディープ(深い)」という名前は、ニューラルネットワークの層(レイヤー)が深いことを意味します。画像認識、音声認識、自然言語処理など複雑なタスクで優れた性能を発揮し、現在のAI発展の原動力となっています。

ニューラルネットワーク(神経回路網)

人間の脳のニューロン接続方式を模したコンピューティング構造です。入力層、隠れ層、出力層で構成され、各層の「ノード」が互いに接続して情報を伝達します。隠れ層が多くなるほど、より複雑なパターンを学習でき、これがまさにディープラーニングです。

生成AI用語:対話し創造するAI

LLM(大規模言語モデル)

膨大なテキストデータで学習した超大規模AIモデルです。ChatGPTのGPT-4、GoogleのGemini、AnthropicのClaudeが代表的です。数千億個の「パラメータ」を持ち、文脈を理解し自然なテキストを生成します。LLMの登場により、AIと自然言語で会話する時代が開かれました。

GPT(Generative Pre-trained Transformer)

OpenAIが開発したLLMシリーズの名前です。「Generative」はテキストを生成するという意味、「Pre-trained」は大量のデータで事前に学習されたという意味、「Transformer」は使用されているニューラルネットワーク構造の名前です。GPT-3.5、GPT-4、GPT-4oとバージョンが進化してきました。ChatGPTはGPTを対話型に仕上げたサービスです。

Transformer(トランスフォーマー)

2017年にGoogleが発表したニューラルネットワーク構造で、現在のほとんどのLLMがこの構造をベースにしています。核心は「Attention(アテンション)」メカニズムで、文章内のある単語が他の単語とどう関連しているかを把握します。「私はりんごを食べた」で、「食べた」が「りんご」と強く結びついていることを学習するイメージです。

プロンプト

AIに与える指示文や質問のことです。「メールの下書きを作って」から「1920年代のニューヨークスタイルで絵を描いて」まで、AIが実行するタスクを説明するすべての入力がプロンプトです。同じAIでも、プロンプトの書き方次第で結果の質が大きく変わります。

プロンプトエンジニアリング

AIから望む結果を得るためにプロンプトを最適化する技術です。単に「要約して」よりも「重要なポイント3つを箇条書きで要約して」の方がより良い結果が得られます。役割の付与(「あなたはプロの編集者です」)、例の提示、段階的な指示など、様々なテクニックがあります。

トークン

AIがテキストを処理する基本単位です。英語では大体1単語が1〜2トークン、日本語では1文字が1〜3トークン程度です。AIサービスの料金は通常トークン数で計算され、入力と出力の両方がトークンで測定されます。

ハルシネーション(幻覚)

AIが事実ではない情報をまるで事実であるかのように生成する現象です。存在しない論文を引用したり、起きていない出来事を説明したりするケースが代表的です。LLMは「もっともらしい次の単語」を予測する方式で動作するため発生します。AI出力のファクトチェックが重要な理由です。

最新トレンド用語:AIの未来

AGI(汎用人工知能)

人間のように様々な分野で柔軟に思考し学習できるAIを指します。現在のAIは特定のタスクにのみ優れた「弱いAI」ですが、AGIは新しい状況でも自ら適応し問題を解決します。OpenAI、Googleなど主要企業がAGI開発を目標にしていますが、いつ達成されるかは専門家の間でも意見が分かれています。

マルチモーダル

テキスト、画像、音声、動画など複数の形態のデータを同時に理解し処理するAI能力です。GPT-4oは画像を見て説明でき、Geminiは動画を分析できます。人間が目、耳、口を同時に使うように、マルチモーダルAIは様々な情報を総合的に理解します。

RAG(検索拡張生成)

LLMの限界を補完する技術で、AIが回答する前に外部データベースや文書を検索して参照します。例えば、社内文書を検索して正確なポリシーを案内したり、最新ニュースを参照して回答したりします。ハルシネーションを減らし、最新情報を反映するのに効果的です。

ファインチューニング

すでに学習されたAIモデルを特定の目的に合わせて追加学習させることです。医療、法律、金融など専門分野のデータでファインチューニングすると、その分野でより正確な回答を生成します。基礎モデルを最初から学習させるよりもはるかに少ないデータとコストで専門化したAIを作れます。

PRISM Insight:用語を超えて活用へ

AI用語を知ることはスタートに過ぎません。本当の価値は、この知識をもとにAIを効果的に活用することにあります。プロンプトエンジニアリングの技法を身につければ、同じChatGPTでもはるかに良い結果が得られますし、ハルシネーションを理解していれば、AI出力を批判的に検証する習慣が身につきます。AIはツールであり、ツールは理解した分だけうまく使えるのです。

基本用語まとめ

用語一言定義
AI人間の知能を模倣するコンピュータシステム
機械学習データから自らパターンを学習する技術
ディープラーニング深いニューラルネットワークを使う機械学習
LLM大規模テキストで学習した言語AIモデル
GPTOpenAIの代表的LLMシリーズ
プロンプトAIに与える指示文
トークンAIがテキストを処理する基本単位
ハルシネーションAIが事実でない情報を生成する現象
AGI人間レベルの汎用人工知能
マルチモーダルテキスト・画像・音声を同時に処理するAI
RAG外部情報を検索して回答に活用する技術
ファインチューニング既存AIを特定目的に合わせて追加学習
AI人工知能LLMGPT用語辞典ガイド

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