韓国公務員殺害事件：文在寅政権時代の安保高官ら5人、情報隠蔽の罪で無罪判決

無罪判決が下されましたが、事件はまだ終わっていません。本日2025年12月26日、ソウル中央地方裁判所は、2020年に発生した北朝鮮による韓国公務員殺害事件をめぐり、情報隠蔽などの罪に問われた文在寅（ムン・ジェイン）前政権の安保高官ら全員に無罪を言い渡しました。

裁判所「証拠不十分」、検察の主張を退ける

聯合ニュースによると、裁判所は元国家安保室長の徐薫（ソ・フン）氏、元国家情報院長の朴智元（パク・チウォン）氏、元国防部長官の徐旭（ソ・ウク）氏ら5人に対し、「証拠不十分」を理由に無罪判決を下しました。検察は、被告らが南北関係の悪化を懸念し、故イ・デジュン氏が「自ら越北（北朝鮮への亡命）を図った」という結論に誘導し、関連情報を削除したと主張していました。

しかし裁判所は、当時の文大統領が「確認された事実を国民に公開する」よう指示していた点を指摘。「検察の主張通りなら、彼らは大統領の命令に背いたことになり、受け入れがたい」と判断しました。また、限られた情報の中で下された「越北」という判断も、たとえ誤りであったとしても尊重されるべきだと述べました。

安堵と反発、交錯する反応

判決後、被告らは安堵の表情を見せました。特に朴智元氏は、検察と国家情報院の政治的中立性を確保するための改革を推進すると述べました。一方で、判決を傍聴した故人の兄、イ・レジン氏は判決を強く非難しました。

事件の背景にある政治的対立

この事件は2020年9月22日、漁業指導船に乗っていたイ・デジュン氏が黄海で行方不明となり、北朝鮮軍によって射殺・焼却されたものです。事件は2022年に尹錫悦（ユン・ソンニョル）政権が発足した後、監査院が検察に捜査を要請したことで再燃。前政権と現政権の間の政治的対立の象徴的な事件と見なされてきました。