スーダン・エル・ファシル人道危機2025：国連が目撃した「犯罪現場」の惨状

かつて活気にあふれた都市は、今や巨大な「犯罪現場」と化してしまいました。国連の調査チームは、準軍事組織「快速支援部隊（RSF）」が占領したスーダン西部の都市エル・ファシルへ初めて立ち入り、その凄惨な状況を報告しました。ロイター通信によると、街からは人影が消え、残された人々は空き家やビニールシートの下で、不安に震えながら過ごしています。

エル・ファシル人道危機2025：繰り返される悲劇

2025年10月26日にRSFが街を制圧した後、実に10万人以上の住民が命からがら避難しました。生き残った人々は、民族的な大量殺害や広範囲に及ぶ拘束が行われたと証言しています。エール大学の人道調査研究所が発表した報告書では、RSFが遺体の埋葬や焼却を通じて、組織的に証拠隠滅を図っている可能性も指摘されています。

特に深刻なのは子供たちの状況です。国連児童基金（UNICEF）が今月実施した調査では、北ダルフール州の特定の地域で、検査を受けた子供の53%が急性栄養失調に陥っていることが判明しました。さらに6人に1人は、適切な治療がなければ数週間以内に命を落とす危険がある最重度の栄養失調状態にあります。

分裂するスーダンと国際社会の限界

スーダン軍（SAF）とRSFの権力争いから始まったこの紛争により、これまでに1,400万人が住む場所を追われ、そのうち430万人が国外へ逃れています。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は即時停戦を呼びかけていますが、ブルハン将軍率いる軍側は交渉を拒否し、RSFの降伏を求めています。

現在、人道支援を必要とする人は3,040万人に達していますが、主要ドナーからの資金削減により、国連は2026年の支援要請額を半減せざるを得ないという、極めて厳しい現実に直面しています。