故郷は「金」のように輝くか？トルコのシリア難民 帰還の現状 2025

「故郷は金のように美しく再建されるはずだ」。トルコのガズィアンテプで、18歳の青年アフメドさんは希望を語ります。しかし、その瞳には一抹の不安も混じっています。2024年12月に独裁者バッシャール・アル＝アサド政権が崩壊してから1年。かつてない激動を経て、トルコに身を寄せるシリア難民たちは、人生を左右する大きな決断を迫られています。

トルコのシリア難民 帰還の現状 2025：希望と現実の乖離

BBCの報道によると、政権交代後、すでに50万人以上のシリア人がトルコを離れ、帰国しました。ピーク時には350万人に達した難民の数は、歴史的な転換点を迎えています。しかし、誰もが楽観的になれるわけではありません。故郷のアレッポを訪れたアヤ・ムスタファさんは、自宅が他人に占拠されている光景を目の当たりにしました。「電気も水も、そして仕事も必要です」と彼女は語ります。廃墟と化した街での生活は、依然として困難を極めているのが実情です。

新生シリアの政治体制への不信感も、帰還をためらわせる大きな要因です。暫定大統領のアフメド・アルシャラ氏は元アルカイダ幹部という経歴を持ち、イメージ刷新を図っていますが、治安の悪化や経済の停滞は深刻です。ある支援団体の代表は、治安の悪さを理由に「家族を連れて戻ることはない」と断言しました。

トルコ政府の政策転換と迫り来る圧力

トルコのエルドアン大統領は「強制的な追放は行わない」と明言していますが、水面下では圧力が強まっています。シリア人向け通院費の無償化が2026年1月から廃止されるほか、雇用規制の強化など、滞在コストを上昇させる施策が次々と導入されています。

専門家は、2028年に予定されている総選挙を見据え、政治的な思惑からさらなる政策変更が行われる可能性を指摘しています。シリア難民にとって、トルコはもはや「安住の地」ではなくなりつつあるのかもしれません。