なぜ汚れた雪山は春になっても消えないのか？科学が解き明かす意外な理由

春になっても駐車場の隅に残る汚れた雪山。なぜ溶けにくいのか？その理由は「融解の潜熱」と雪自身の「断熱効果」にありました。日常に隠された科学の秘密を解説します。

冬が過ぎ、暖かい日差しが戻ってきても、駐車場の隅にうず高く積まれた汚れた雪山だけが、まるで頑固な記念碑のように居座り続ける光景。あなたも不思議に思ったことはありませんか？気温は上がっているのに、なぜあの雪の塊だけがなかなか溶けないのでしょうか。その理由は、意外な科学的原則にありました。

Boston.comによると、主な理由は2つあります。1つ目は「融解の潜熱」です。これは、物質が固体から液体へ状態を変えるために必要なエネルギーのことで、温度とは別の概念です。巨大な雪の塊は、単に気温が上がるだけでは不十分で、氷を溶かすための膨大なエネルギーと「時間」が必要になります。手のひらの上の角氷がすぐには溶けないのと同じ原理です。

2つ目の理由は、雪山の「厚さと密度」です。これらの雪山は、人間が除雪作業で雪を同じ場所に押し固めて「作った」ものです。雪が圧縮されると密度が高まり、表面近くの雪が内側の雪を守る「断熱材」のような役割を果たします。このため、圧縮された雪の内部まで熱が届きにくくなり、溶かすのにより多くのエネルギーが必要になるのです。

このしぶとい雪山を早く溶かす最も効果的な方法は、実は雨です。雨水は雪の塊に浸透し、断熱効果を弱めることで融解を促進します。実際に、この現象は長引くことがあり、2015年の豪雪に見舞われたボストンでは、巨大な雪山が7月まで残っていたという記録もあります。

PRISM Insight: この現象は、断熱と熱質量という、省エネ建築や大規模な気候システムの理解に不可欠な物理原則を身近に教えてくれます。人間が作った都市インフラが、意図せずして自然現象を長引かせる様子を示す、小さな縮図と言えるでしょう。

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