マイクロストラテジー、現金準備高を22億ドルに増強―「ビットコインの冬」に備え財務基盤を強化

世界最大のビットコイン保有企業マイクロストラテジーが、現金準備高を22億ドルに増強。2年半超の配当支払いをカバーし、2027年の転換社債リスクにも備えることで、「ビットコインの冬」への財務的耐性を強化しました。

上場企業として世界最大のビットコイン保有量を誇るマイクロストラテジー（MSTR）が、現金準備高を22億ドルまで積み増したことが明らかになりました。同社は最近の株式売却で得た7億4800万ドルを準備金に加え、これにより少なくとも2年半分の配当支払いをカバーできる財務的余力を確保。ビットコイン市場が4年周期で迎える可能性のある「冬の時代」を乗り切るための備えを固めています。

2028年の半減期を見据えた配当バッファー

同社の発表によると、この22億ドルの準備金は、主に優先株の配当支払いに充てられます。年間配当総額は約8億2400万ドルに上り、現在の準備高で約32ヶ月分、つまり2026年、2027年を経て2028年初頭までの支払いを中断なく継続できる計算です。

この期間は、ビットコインのブロック報酬が半減する次回の「半減期」（2028年4月頃と予想）をまたいでおり、市場のボラティリティが高まる時期を乗り切るための重要な安全網となります。

2027年満期の転換社債リスクにも対応

この現金バッファーは、配当支払いだけでなく、2027年9月に償還期限を迎える10億ドル規模の転換社債への備えという側面も持ちます。社債権者はこの時点でマイクロストラテジーに債券の買い戻しを要求できます。

理想的なシナリオは、同社株価が転換価格である1株183ドルを上回り、社債が株式に転換されることです。しかし、現在の株価（約165ドル）のように転換価格を下回った場合、同社は現金での償還を迫られます。今回増強された準備金は、こうした事態にも十分対応できる規模です。さらに、同社は最終的な安全策として671,268 BTCを保有しており、万が一の場合でも、その一部を売却するだけで対応できる柔軟性を備えています。

PRISM Insight: 守りを固める戦略

今回の資金調達は、マイクロストラテジーが事業運営リスクとビットコイン投資戦略を意図的に分離する動きと解釈できます。財務基盤を固めることで、仮にビットコイン価格が低迷しても、中核資産であるビットコインを売却することなく企業としての義務を果たせる体制を整えたと言えるでしょう。

2028年の半減期を見据えた配当バッファー

2027年満期の転換社債リスクにも対応

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