サムスン傘下ハーマン、独ZFのADAS事業を約2500億円で買収へ。車載事業の強化が狙い
サムスン電子の子会社ハーマンが、ドイツZF社の先進運転支援システム（ADAS）事業を約15億ユーロで買収。デジタルコックピットとADAS技術を統合し、次世代自動車市場でのリーダーシップを目指します。
サムスン電子は12月23日、同社の完全子会社である音響・車載大手「ハーマン」が、ドイツの自動車部品メーカー「ZFフリードリヒスハーフェン」の先進運転支援システム（ADAS）事業を買収すると発表しました。買収額は15億ユーロと見積もられており、急成長する自動車事業の新たな成長エンジン確保を目的としています。
買収の背景：「デジタルコックピット」と「ADAS」の融合
サムスン電子によると、今回の買収は、ハーマンが持つ「デジタルコックピット」（車載インフォテインメントシステム）の技術と、ZF社のADAS技術を統合することが主な目的です。これにより、車両の様々な機能を一元的に管理する「中央集中型コントローラー構造」を構築し、「急速に進化する自動車トレンドをリードする能力を確保する」としています。買収手続きは2026年末までに完了する予定です。
ハーマンの急成長とサムスンの野心
2017年にサムスン傘下となったハーマンの売上は、買収当初の約70億ドルから2024年には約135億ドルへと急成長を遂げました。今年5月には、米マシモ社のオーディオ事業を約5.8億ドルで買収し、Bowers & WilkinsやDenon、Marantzといった高級ブランドも傘下に収めています。サムスン電子は、今後もハーマンを通じて大規模なM&Aを継続し、2030年までに年間売上200億ドルの達成を目指す計画です。
今回の買収は、サムスンが単なる部品サプライヤーから、未来の自動車における「頭脳」にあたる中央制御システムの主導権を握ろうとする明確な意思表示です。インフォテインメントと安全機能を融合させることで、ソフトウェア中心の次世代自動車（SDV）市場でアップルやグーグルといった巨大テック企業と競合する基盤を築く狙いが見えます。
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