ウクライナ、ロシア石油施設へ大規模ドローン攻撃 クリスマス停戦なく戦闘と和平交渉が同時進行
2025年12月26日、ウクライナはロシア南部の石油施設へ大規模なドローン攻撃を実行。戦闘が激化する一方、アメリカを介した和平交渉も水面下で進行しており、軍事と外交の二重戦略が鮮明になっています。
聖歌が響く一方で、ドローンの爆音が鳴り止まない。ウクライナではクリスマスも戦闘が続き、2025年12月26日、ウクライナ軍がロシア南部の主要な石油関連施設を大規模に攻撃しました。しかしその裏では、アメリカを介した和平交渉が水面下で進展している兆候も見られ、軍事圧力と外交的駆け引きが同時に進行する複雑な様相を呈しています。
ロシアのエネルギーインフラを狙った集中攻撃
ウクライナ保安庁(SBU)によると、長距離ドローンがロシア南部クラスノダール地方のテムリュク港にある石油貯蔵タンク2基を攻撃しました。この攻撃で約2,000平方メートルにわたる大規模な火災が発生したと報告されています。また、オレンブルク州のガス処理施設も標的となりました。さらにウクライナ軍参謀本部は、ロストフ州のノヴォシャフチンスク製油所を巡航ミサイル「ストーム・シャドウ」で攻撃したと発表。この製油所はロシア軍の作戦を支える重要な供給拠点でした。一方、ロシア国防省は、東部ドネツク州のスビャト・ポクロフスケ集落を制圧したと国営通信社を通じて伝えました。
水面下で進む和平への道筋
軍事的な緊張が高まる中、外交交渉も活発化しています。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ドナルド・トランプ米大統領の特使スティーブ・ウィットコフ氏および娘婿のジャレッド・クシュナー氏と約1時間にわたり会談し、戦争終結に向けた方策を協議したと明らかにしました。ゼレンスキー大統領は「アメリカのチームと共に、すべてを然るべき場所に収める方法を理解している」と述べ、今後数週間の集中的な協議に期待感を示しました。
ロシア側も交渉の進展を認めています。ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、アメリカとの交渉は「ゆっくりだが着実に進んでいる」と評価しました。こうした動きは、戦場で優位に立つことが交渉のテーブルで有利な条件を引き出すための手段として使われていることを示唆しています。
広がる地政学的対立
紛争の影響は周辺地域にも及んでいます。ポーランドは、バルト海上空でロシアの偵察機に対応するため戦闘機を緊急発進させました。また、ベラルーシから多数の飛行物体が領空に侵入したと警告し、祝祭シーズン中の挑発行為の可能性を示唆しています。一方、ロシアは、アメリカがベネズエラを封鎖していることを「海賊行為」だと非難し、マドゥロ政権への支持を改めて表明しました。
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