台本なしで出演を決意―『モンスター』主演ローリー・メトカーフが語る、ライアン・マーフィーへの信頼と「奇妙で楽しい」撮影現場
ベテラン女優ローリー・メトカーフが、なぜ脚本を読まずにネットフリックス『モンスター』への出演を決めたのか。ライアン・マーフィーへの信頼、そして「奇妙で楽しい」と語る撮影現場での即興シーンの裏側を明かします。
エミー賞受賞歴を誇るベテラン女優ローリー・メトカーフが、キャリアで初めて、一本も脚本を読まずにプロジェクトへの参加を決めました。エンターテインメント・ウィークリー誌の2025年12月21日の報道によると、彼女が出演したのはネットフリックスの話題作『モンスター:エド・ゲイン・ストーリー』。この異例の決断の背景には、共同制作者ライアン・マーフィーへの絶大な信頼がありました。
メトカーフは、悪名高い殺人鬼エド・ゲイン(チャーリー・ハナム)の、支配的で信仰心の厚い母親オーガスタという役に、マーフィーが描くビジョンに強く惹かれたと語ります。脚本なしでの参加は「好ましいやり方ではない」と認めつつも、マーフィーの構想に賭ける価値があると感じたのです。
彼女とハナムの課題は、この歪んだ母子関係が「一方的なものではない」と示すことでした。メトカーフは、「オーガスタの躾や宗教教育には理由がなければならなかった」と述べ、その行動が単なる狂気ではなく、息子を「正しい道へ導こう」とする歪んだ保護意識から生まれていることを表現する必要があったと説明します。二人の「使命」は、この関係性の中に「優しさの小さな種」を見つけ出すことでした。
物語の題材は重いものでしたが、撮影現場の雰囲気は「協力的で、奇妙なほど楽しかった」とメトカーフは振り返ります。その象徴的なエピソードとして、撮影終盤に監督のマックス・ウィンクラーが提案した即興シーンを挙げました。「私(オーガスタ)がチャーリー(エド)を家中で追いかけ回し、二人で笑い転げながら鬼ごっこをする、というものでした」と彼女は明かします。撮影初期であれば戸惑ったであろうこの突飛なアイデアも、撮影終盤には「この機能不全な二人がそうした瞬間を持つことは、奇妙なほどしっくりきた」と言います。
この「とんでもなく大胆」なシーンは、最終的に彼女のお気に入りになりました。そして、脚本なしで飛び込んだ今回の経験は、彼女自身にも大きな影響を与えたと結論づけています。「このような信頼に基づく挑戦は、自分をより大胆にし、リスクを恐れないようにしてくれた。素晴らしい人々に囲まれ、ゼロから何かを探求することの価値を学びました」と語りました。
PRISM Insight: ハイクオリティな映像作品において、信頼の経済は「脚本」から「ショーランナー」へと移行しつつあります。ローリー・メトカーフが脚本なしでライアン・マーフィーの『モンスター』に参加したことは、トップクラスの俳優が従来の慣習を飛び越え、完成された脚本よりもクリエイターのビジョンと協力的な制作プロセスに賭けるという、新たな潮流を象徴しています。これは、映像作品が飽和する現代において、信頼できるショーランナーのブランドが、完成した脚本以上に価値を持つことを示唆しています。
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