『THE WIRE/ザ・ワイヤー』俳優ジェームズ・ランソンさん、46歳で死去。自殺と断定
『THE WIRE/ザ・ワイヤー』や『IT/イット』で知られる俳優ジェームズ・ランソンさんが46歳で死去。ロサンゼルス郡検視局が自殺と断定したと発表。彼の輝かしいキャリアと功績を振り返ります。
テレビシリーズ『THE WIRE/ザ・ワイヤー』や映画『フッテージ』、『ブラック・フォン』などで強烈な印象を残した個性派俳優ジェームズ・ランソンさんが、46歳で亡くなったことが分かりました。ロサンゼルス郡検視局は、現地時間2025年12月19日(金)に亡くなったランソンさんの死因を自殺と断定したと発表しています。
エンターテインメント・ウィークリー誌の取材に対し、ロサンゼルス市警は自殺に関する事件にはコメントしないという方針を理由に、詳細を語ることを控えました。
1979年6月2日、ボルチモアで生まれたランソンさんは、2002年の映画『KEN PARK ケン パーク』で注目を集めると、翌年には彼の代名詞ともなる役に出会います。それがHBOの傑作ドラマ『THE WIRE/ザ・ワイヤー』シーズン2の港湾労働者、チェスター・“ジギー”・ソボトカ役でした。衝動的で向こう見ずなジギーのキャラクターは、シリーズ全体でも屈指の緊張感あふれる物語を生み出し、クリエイターのデヴィッド・サイモン氏との長期にわたる協業の始まりとなりました。
ランソンさんは後年、「セリフがすごく…濃密だったのを覚えているよ」と当時を振り返っています。「ボルチモア郊外の出身だから訛りはできたけど、バーでジギーがとんでもない行動に出るシーンのセリフは、何が何だかさっぱり分からなかった」とユーモラスに語っていました。
その後も、スパイク・リー監督(『インサイド・マン』)、ショーン・ベイカー監督(『タンジェリン』)といった名だたる監督たちの作品に出演。近年は『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』や『ブラック・フォン』といったホラー作品での活躍が目立ち、再び大きな注目を集めていました。
また、2003年のイラク侵攻を描いたデヴィッド・サイモン氏のミニシリーズ『ジェネレーション・キル』への出演は、彼にとって特別な意味を持っていました。「父がベトナム帰還兵だったから」と、2016年のインタビューで語っています。「戦争を経験した若い海兵隊員たちと一緒にいることで、若き日の父の姿を垣間見ることができた。自分の生い立ちや家族について、多くのことが腑に落ちたんだ」と、役柄と自身のルーツが深く結びついていたことを明かしています。
PRISM Insight: ジェームズ・ランソンは、大作の主役ではなくとも、強烈な個性と忘れがたい演技で観客の記憶に深く刻まれる「キャラクター俳優」の真価を体現しました。彼のキャリアは、完璧ではない、生々しい人間味あふれる役柄こそが、物語に深みとリアリティを与え、時代を超えて人の心を揺さぶる力を持つことを示しています。
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