インドの巨大財閥アダニ、AIデータセンターの電力に「原子力」を検討。1GW超の巨大施設構想
インドの巨大財閥アダニ・グループが、1GW超のAIデータセンター網構築のため、自社での原子力発電所の建設・所有を検討。AI時代の新たなエネルギー戦略が明らかに。
リード
インドの巨大複合企業アダニ・グループが、国内に1ギガワット(GW)を超える大規模なAI(人工知能)データセンター網の構築を計画していることが明らかになりました。日経アジアが2025年12月22日に報じたインタビューによると、その莫大な電力需要を賄うため、自社で原子力発電所を建設・所有することも視野に入れているといいます。
「攻撃的」なインフラ投資
この計画を明らかにしたのは、アジアで2番目に裕福な人物として知られるゴータム・アダニ氏の末息子であり、アダニ・デジタル・ラボのディレクターを務めるジット・アダニ氏です。同氏はインタビューに対し、アダニ・グループがAIデータセンターおよび、それを稼働させるためのエネルギーインフラの構築に「攻撃的に(aggressive)」取り組むと語りました。
現在、AIモデルの学習や運用には膨大な電力が消費されるため、データセンターの安定的な電力確保が世界的な課題となっています。特に生成AIの普及により、その需要は爆発的に増加しています。アダニ・グループの構想は、データセンターの建設(需要側)と発電所の建設(供給側)を垂直統合することで、この課題を根本的に解決しようとするものです。
技術背景:データセンターと電力
一般的なデータセンターの消費電力はメガワット(MW)単位ですが、AIの計算処理に特化したハイパースケール・データセンターは数百MWを消費します。1GW(=1,000MW)は、一般的な原子力発電所1基分の出力に匹敵する規模であり、計画の壮大さを示しています。
なぜ原子力なのか
アダニ・グループがエネルギー源として原子力を検討している背景には、AIデータセンターに求められる「24時間365日無停止」の安定したクリーン電力供給の必要性があります。太陽光や風力などの再生可能エネルギーは天候に左右されるため、ベースロード電源として常に安定した出力を提供できる原子力が有力な選択肢として浮上したとみられます。
この動きは、インド政府が民間企業に原子力発電分野を開放する方針を示していることとも連動しています。アダニ・グループが実際に原子力事業に参入すれば、インドのエネルギー政策とテクノロジー戦略の両方において、大きな転換点となる可能性があります。
PRISM Insight: AI開発競争は、今や「電力確保」の競争へと姿を変えつつあります。アダニの構想は、テクノロジー企業が単なる電力の消費者から生産者へと転換し、国家レベルのエネルギー戦略に直接関与する時代の幕開けを象徴しています。将来、AIの覇権を握るのは、最も優れたアルゴリズムを持つ企業ではなく、最も安定した巨大なクリーンエネルギー源を確保した企業になるのかもしれません。
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