米国学資ローン制度、2026年に大変革:バイデン氏の「SAVEプラン」終了、トランプ政権の新制度が始動
2026年、米国の学資ローン制度が大きく変わります。バイデン政権の「SAVEプラン」が終了し、トランプ政権による新たな返済プランと借入上限が導入。約700万人の利用者に影響が及ぶ見通しです。
【ワシントンD.C.】2025年、米国の連邦学資ローン利用者は目まぐるしい制度変更への対応に追われたが、2026年にはさらに大きな変革が待ち受けている。NPRの報道によると、トランプ政権と議会は、バイデン前政権下で導入された人気の所得連動型返済プラン「SAVE」を終了させ、新たな返済制度と借入上限額を導入する。この変更は、約700万人の利用者に直接的な影響を与える見通しだ。
人気の「SAVEプラン」が法廷闘争の末に終了
米国教育省は2025年12月初旬、共和党が多数を占める州司法長官らとの和解案に合意し、バイデン政権時代に導入された「SAVEプラン」を終了させると発表した。このプランは、低所得者層には月々の返済額を$0に抑え、返済期間を短縮するなど、利用者にとって「最も手頃で寛大なプランだった」と擁護団体のペルシス・ユー氏は評価する。しかし、その寛大さが権限の乱用にあたるとして訴訟に発展していた。
和解案を発表した際、教育省のニコラス・ケント次官は「法は明確だ。ローンを組んだら返済しなければならない」と述べ、納税者が無責任なローン政策の担保にされることはなくなったと強調した。しかし、この突然の変更により、SAVEプランを前提に生活設計を立てていた約700万人の利用者は、より高額な月々の返済に直面する可能性があり、専門家からは深刻な懸念の声が上がっている。
2026年7月1日から導入される新返済プラン
SAVEプランに代わり、トランプ政権と議会は新たな法案(OBBBA)を通じて、2026年7月1日から2つの新しい返済プランを導入する。これにより、既存の所得連動型プランであるICRとPAYEも2028年半ばに段階的に廃止される。
1. 新標準プラン
新規の借り手は、負債額に応じて10年から25年の返済期間が設定される。住宅ローンのように、元金と利息が均等に分割された固定額を毎月返済する仕組みだ。
2. 返済支援プラン(RAP)
収入が少なく標準プランでの返済が困難な借り手向けに設計された。返済額は主に調整後総所得(AGI)に基づいて決定され、月々の返済額でカバーしきれない利息は政府が免除する。これにより、返済を続けている限りローン残高が増えることはない。さらに、月々の返済額が$50未満の場合、政府が同額を上乗せして元本返済に充てる。ただし、残債が免除されるまでの期間は、従来の20~25年から30年に延長される。
大学院生と保護者への影響:借入上限額の厳格化
返済だけでなく、借入制度も大きく変わる。2026年7月1日以降、大学院生が学位取得費用の上限まで借り入れられた現行の「grad PLUS」プログラムが廃止される。新たな年間借入上限額は、大学院生で$20,500、法学や医学などの専門職学位で$50,000に設定される。また、保護者向けの「parent PLUS」ローンも、子供一人あたり$65,000が上限となる。
保守系シンクタンクAEIのプレストン・クーパー氏は、この改革が大学に授業料引き下げの圧力をかけると期待する一方、擁護団体のペルシス・ユー氏は、多くの学生が不足分を補うために金利の高い民間ローン市場に頼らざるを得なくなると警告している。
今回のトランプ政権による学資ローン改革は、連邦政府の財政負担を軽減し、高騰する大学の授業料を抑制するという明確な意図がある。しかし、その一方で、これまで手厚い支援に頼ってきた数百万人の借り手を、より厳格な返済義務へと突き落とす。この政策転換は、個人の経済的苦境を増大させ、ひいては米国社会全体の「債務不履行の崖」を引き起こしかねない、危険な賭けともいえる。
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