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ベクヒョン不在のEXOパフォーマンスが120万再生。『寂しい』歌声が世界で拡散した理由とは?
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ベクヒョン不在のEXOパフォーマンスが120万再生。『寂しい』歌声が世界で拡散した理由とは?

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EXOのファンミ動画が異例のバイラル。しかしその理由は賞賛ではなく、不在のベクヒョンへの渇望だった。K-POPにおける「完全性」の意味を問う。

パフォーマンスは完璧。しかし、ファンの耳には「不在の歌声」が響いていた

2025年12月14日、K-POPのレジェンドグループEXOが開催したファンミーティング。そこで披露された名バラード「Don't Go」のパフォーマンス映像が、瞬く間にX(旧Twitter)で120万回以上再生され、世界的なバイラル現象となりました。しかし、その理由は賞賛だけではありませんでした。むしろ、そこに「いない」はずのメンバー、特にメインボーカルであるベクヒョンの存在を、ファンがかつてないほど強く感じたからです。

この異例の事態は、単なるファンの感傷的な反応にとどまりません。K-POPにおけるグループの「完全性」とは何か、そして事務所との紛争がアートそのものに与える影響を浮き彫りにする象徴的な出来事となっています。

なぜこの動画はバイラル化したのか?

  • 伝説的楽曲のサプライズ披露:長年愛されてきた初期の名曲「Don't Go」が予期せずパフォーマンスされ、ファンの感動を呼びました。
  • メインボーカルの不在という違和感:楽曲の象徴的なパートを担当するベクヒョンの声がないことで、多くのファンがパフォーマンスに「決定的な欠落」を感じました。
  • 「喪失感」の共有:ファンはSNS上で「寂しい」「物足りない」といった感情を共有し、それが集合的な議論へと発展しました。
  • 内部紛争の可視化:メンバーの一部(CBX)と所属事務所SMエンターテインメントとの法廷闘争という背景が、パフォーマンスの不完全さと直結し、ファンの懸念を増幅させました。

背景:一体何が起きているのか?

ステージ上の「空白」

今回のファンミーティングは、当初から異例の状況下で開催されました。メンバーのベクヒョン、シウミン、チェン(通称CBX)が所属事務所SMエンターテインメントとの間で法的な問題を抱えているため、参加メンバーは限られていました。さらに、レイの急な不参加も重なり、最終的にステージに立ったのはスホ、D.O.、カイ、チャンヨル、セフンの5人でした。

そんな中で披露されたのが、2013年リリースのアルバム「XOXO」に収録されている「Don't Go(나비소녀)」。この曲はファンの間で絶大な人気を誇り、特にベクヒョンの伸びやかで感情的なボーカルパートは、楽曲の魂とも言える部分でした。しかし、そのパートが不在のままパフォーマンスされたことで、ファンは美しいメロディの中に埋められない「空白」を感じ取ってしまったのです。

世界のファンの声:悲しみ、怒り、そして擁護

このパフォーマンス動画には、世界中のファンから様々な言語で複雑な心境が寄せられました。単なる批判ではなく、悲しみや他のメンバーへの配慮、そして事務所への不満が入り混じっています。

  • 「聞き慣れたパートで、聞き慣れた声がしないのが、こんなにも奇妙な気分だなんて…」 (韓国のファン)
  • 「ベクヒョンのいない『Don't Go』なんて…本当にありえない。」 (韓国のファン)
  • 「音響も良くないし、他のメンバーが必死にカバーしようと頑張っている姿を見るのがつらい。」 (韓国のファン)
  • 「これはEXOが不完全だということじゃない。彼らは常に素晴らしい。でも、パズルの重要なピースが一つ欠けているような感覚なんだ。」 (英語圏のファン)
  • 「まるで名画から主要な色が抜き取られたみたいだ。美しいことには変わりないけど、何かが決定的に欠けている。」 (英語圏のファン)
  • 「この動画が拡散すること自体が、SMエンターテインメントに対する私たちの静かな抗議。ファンの声を無視しないでほしい。」 (国際ファン)
  • 「ステージにいる5人を責めないで。彼らはファンのためにベストを尽くしてくれた。彼らの努力に感謝すべきだ。」 (擁護的な意見)

PRISM Insight:K-POPにおける「完全体」という名の呪縛と祝福

今回の現象は、K-POP文化に根付く「完全体(OT annyeonche)」という概念の重要性を改めて示しています。ファンが愛するのは、単に楽曲やパフォーマンスだけではありません。特定のメンバーが集まることで生まれる唯一無二の化学反応、声の重なり、そして共に歩んできた物語そのものです。

ベクヒョンの不在は、単にボーカルが一人欠けたという事実以上の意味を持ちます。それは、ファンが愛してきたEXOという「作品」の一部が損なわれたという感覚に近いでしょう。今回のバイラルは、ファンが単なるコンテンツの消費者ではなく、グループのアイデンティティを守ろうとする積極的な「ステークホルダー(利害関係者)」であることを証明しました。SNSは彼らの集合的な「喪失感」を可視化し、事務所の経営判断や法的な問題が、いかにファンの心とアートの質に直接的な影響を与えるかを世界に問いかけています。

この「寂しい」パフォーマンスの拡散は、EXOだけの問題ではありません。メンバーの変動や内部対立を経験する全てのアイドルグループが直面する普遍的な課題を浮き彫りにした、2025年を象徴する出来事の一つとして記憶されるでしょう。

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