中国の量子技術、米空母を無力化する？米国防総省が2025年次報告書で警告

未来の戦争は、空母や戦闘機ではなく「量子」が支配するかもしれません。米国防総省は12月24日に議会へ提出した中国の軍事動向に関する年次報告書で、中国が量子技術の開発を加速させていると指摘し、国家安全保障上の重要な課題として警鐘を鳴らしました。

ワシントンで発表されたこの報告書によると、中国政府は量子コンピューティングや関連技術を、未来の産業と軍事力の両面で中核をなすものと位置づけているとのことです。これは、従来の物理的な兵器による競争から、情報と計算能力をめぐる見えない戦いへと、安全保障のパラダイムがシフトしていることを示唆しています。

なぜ量子技術が軍事的脅威なのか？

量子技術が軍事的に重要視される最大の理由は、その圧倒的な計算能力にあります。専門家によれば、大規模な量子コンピュータが実用化されれば、現在の暗号システムはほぼ無力化される可能性があります。これは、各国の軍事、政府、金融機関の通信が瞬時に解読されるリスクを意味します。逆に、量子暗号通信は理論上、解読不可能なセキュリティを提供するため、この技術を先に手にした側が情報戦で絶対的な優位に立つと見られています。

さらに、量子センシング技術は、潜水艦やステルス機といった探知困難な兵器の位置を特定する能力を飛躍的に向上させる可能性も秘めています。アナリストの一部は、中国の量子技術の進歩が、米国の空母打撃群のような伝統的な軍事的優位性を覆しかねないと分析しています。

米中技術覇権の新たな戦場

今回の報告書は、米中間の競争が半導体やAIだけでなく、より基礎的で影響力の大きい量子技術の領域にまで拡大していることを明確にしました。報告書は、中国が2027年までの台湾侵攻準備や、2035年までに空母を3倍に増やす計画を進めているとも指摘しており、物理的な軍備増強と並行して、未来の戦場を見据えた技術開発を急いでいる構図が浮かび上がります。