豪年金ファンド、シドニー中心部の高級モールに8.75億豪ドル投資
豪州の大手年金基金アウェア・スーパーが、シドニー中心部の高級モール「ウェストフィールド・シドニー」の権益を8.75億豪ドルで取得。優良不動産への機関投資家の強い需要が明らかに。
オーストラリアの大手年金基金「Aware Super(Aware Super)」が、シドニー中心部の象徴的な高級ショッピングモール「Westfield Sydney」の権益を8.75億豪ドル(約5.76億米ドル)で取得することで合意しました。ロイター通信によると、売り手は不動産大手の「Dexus(Dexus)」です。この取引は、金利上昇環境下でも、中核となる優良商業不動産への機関投資家の強い需要が続いていることを示しています。
今回の取引対象は、「Westfield Sydney」の25%の権益、および隣接する2つの商業施設の100%の権益です。同モールは「Scentre Group(Scentre Group)」が運営しており、オーストラリアで最も収益性の高い小売資産の一つとして知られています。
買い手であるAware Superにとって、この投資はインフレに強く、長期的に安定した収益が見込める「トロフィー資産」ポートフォリオを強化する狙いがあるとみられます。一方、売り手であるDexusは、資産売却によって得た資金を、開発パイプラインやバランスシートの強化に再投資する「キャピタル・リサイクリング(資本循環)」戦略の一環として、この取引を進めた模様です。
この大型取引は、オーストラリアの商業不動産市場における二極化を浮き彫りにしています。eコマースの台頭により郊外型のショッピングセンターが苦戦する一方で、「Westfield Sydney」のような都市中心部の一等地にある体験型・高級志向の施設は、その価値を維持し続けています。投資家が、不確実な経済状況下で、より安全で質の高い資産へと資金を振り向ける「質への逃避」の動きが鮮明になったと言えるでしょう。
市場のボラティリティが高まる中、年金基金のような長期投資家は、インフレ耐性があり安定したキャッシュフローを生む実物資産への関心を強めています。今回の取引は、代替不可能な都心の一等地の「トロフィー資産」が持つ永続的な価値を証明しており、機関投資家の資本が質の高い不動産へ集中する傾向を裏付けています。
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