AI投資競争が加速、世界のテクノロジー社債発行額が過去最高を記録

ロイター通信が報じた最新データによると、2025年に入ってから世界のテクノロジー企業による社債発行額が、人工知能（AI）への巨額投資を背景に過去最高の8,500億ドルに達したことが明らかになりました。これは前年同期比で40%の急増となり、AIインフラを巡る熾烈な競争が、企業の資金調達戦略を根本から変えつつあることを示しています。

この記録的な社債発行の主な原動力は、AIモデルの開発と運用に不可欠なデータセンターの建設や、エヌビディア製などの高性能GPU（画像処理半導体）の確保にかかる莫大な設備投資です。マイクロソフト、グーグル、アマゾン、メタといった大手テクノロジー企業が、AI分野での優位性を確立するため、数十億ドル規模の起債を相次いで実施しています。企業側は、「AI技術の競争力を維持するためには、今が大規模投資の好機」との見方を示しています。

投資家側も、これらの社債を積極的に購入しています。大手テクノロジー企業の強固な財務基盤と高い信用格付けが、比較的安全な投資先と見なされているためです。しかし、一部のアナリストからは、AIが生み出す収益が期待通りに具体化しない場合、積み上がった負債が将来的な経営リスクになりかねないとの懸念も示されています。

今回の記録的な社債発行は、AIが単なる技術トレンドではなく、巨大な資本を必要とする産業インフラへと移行したことを象徴しています。これは、技術革新を加速させる一方で、企業の財務レバレッジを高める「諸刃の剣」と言えるでしょう。投資家にとって重要なのは、各社のAI戦略が具体的なキャッシュフローにどう結びつくかを見極めることです。技術的なビジョンだけでなく、設備投資の回収計画（ROI）が、今後の企業価値を左右する最大の鍵となります。

テクノロジー企業の負債レベルの増加は、金利変動や景気後退に対する脆弱性を高める可能性があります。ポートフォリオを検討する際は、企業のバランスシートとAI投資の収益化スケジュールを慎重に評価することが推奨されます。