シェイクスピアの「Brave」は「イケメン」の意味だった?400年で意味が激変した12の英単語
シェイクスピアが使った「Brave」は勇敢ではなく「イケメン」、「Nice」は素敵ではなく「愚か」を意味しました。400年の時を経て意味が驚くほど変化した12の英単語を解説。言葉の奥深さに触れる知的な探求。
「おお、ロミオ、あなたはどうしてロミオなの?」――誰もが知るこの名台詞も、もしかしたら私たちは本当の意味を理解できていないのかもしれません。なぜなら、[keyword]ウィリアム・シェイクスピア[/keyword]が生きた400年以上前の英語は、現代英語と「似て非なる」ものだからです。彼が使った単語の多くは、現代では全く違う、時には真逆の意味で使われています。
シェイクスピアは、実に[stat]1,700[/stat]以上もの新語を創り出したとされています。言葉が時代と共に意味を変えるのは自然なこと。今回は、知らずに誤解しているかもしれない、シェイクスピア時代の英単語12選をご紹介します。
・Brave(勇敢な): かつては「ハンサムな」「見栄えが良い」「立派な身なりの」といった外見を褒める言葉でした。いつしか内面の「勇気」を指す言葉に変わりました。 ・Nice(素敵な): 元々は「愚かな」「無知な」という意味の、かなりネガティブな単語でした。現代の意味への変化は、言葉の歴史の中でも特に大きなものの一つです。 ・Cunning(狡猾な): シェイクスピアの時代には、純粋に「賢い」「知的で鋭い」という意味でした。悪いニュアンスはなく、知性への賛辞だったのです。 ・Fond(好む): 今でこそ「愛情深い」という意味ですが、当時は「愚かな」「見当違いな」といった意味。"A fond lover"は、公衆の面前で恥をさらすイタい恋人、というニュアンスでした。
・Jealous(嫉妬深い): 現代の「羨望」とは少し違い、「疑い深い」「不信感を抱いている」状態を指すことが多かったようです。『オセロ』の悲劇は、単なる嫉妬ではなく、心を蝕む「疑念」から生まれたのです。 ・Want(欲しい): 「望む」ではなく「欠けている」「不足している」という意味でした。この解釈の違いだけで、シェイクスピア作品の台詞のニュアンスが大きく変わってしまいます。 ・Honest(正直な): 「嘘をつかない」というよりは、特に女性の「純潔」や「徳の高さ」を指す言葉でした。その人の行動ではなく、存在そのものの道徳性を問う言葉だったのです。 ・Conceit(うぬぼれ): 「傲慢」という意味はなく、「アイデア」や「気の利いた比喩」といった創造的な思考を指しました。むしろクリエイティブであることの証でした。
・Silly(ばかな): 元々は「無力な」「哀れな」「同情に値する」といった意味でした。弱き者を指す言葉が、いつしか「愚か」という意味に転じました。 ・Brutal(残忍な): 感情的な「残酷さ」より、洗練されていない「動物的」「獣のような」状態を指しました。悪意よりも、野性的な荒々しさに焦点が置かれていたようです。 ・Tax(税金を課す): 金銭的な意味はなく、「非難する」「責める」という意味でした。現代で言う「精神的な負担」の方が近かったのかもしれません。 ・Merely(単に): 今とは真逆で、「完全に」「徹底的に」と意味を強調する言葉でした。物事を矮小化するのではなく、むしろ重要性を高めていたのです。
シェイクスピアの言葉の変遷は、言語が固定されたものではなく、時代や文化を映し出す鏡であることを示しています。400年後の未来、私たちが今当たり前に使っている「エモい」や「草」といった言葉は、全く違う意味を持つか、あるいは辞書から消えているかもしれません。古典を読むことは、過去との対話であると同時に、未来の言語の姿を想像する旅でもあるのです。
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