スーダン和平案、RSFが即時拒否:3年近い内戦終結への道は閉ざされたのか
スーダン暫定首相が国連に新たな和平案を提示したが、準軍事組織RSFは即時拒否。3年近く続く内戦は1400万人の避難民を生み出しており、終結への道筋は見えないままだ。
和平案は提示されたものの、銃声は鳴り止みません。スーダンのカミル・イドリス暫定首相が国連安全保障理事会に提出した新たな和平案は、敵対する準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」によって即座に拒否されました。これにより、2023年4月から続く内戦の終結はさらに遠のいたように見えます。この紛争はすでに世界最悪の人道危機を引き起こし、約1400万人もの人々が家を追われています。
政府が提示した「自家製」和平案
スーダン内戦は、国軍(SAF)のアブドゥルファッターハ・ブルハン司令官と、RSFを率いるモハメド・ハムダン・ダガロ(通称「ヘメッティ」)司令官の権力闘争から始まりました。イドリス首相が12月22日に提示した案は、国連、アフリカ連合、アラブ連盟の監視下での即時停戦を求めるものです。具体的には、RSF部隊の支配地域からの完全撤退、戦闘員のキャンプ収容と審査、そして戦争犯罪に関与していない者の社会復帰を掲げています。イドリス首相はこれを、外部から「押し付けられた」ものではない「自家製」の計画だと強調しました。
アナドル通信社が11月に報じたところによると、RSFとその同盟勢力は、ダルフール地方やコルドファン地方の大部分を含む国土の約40%を支配しています。一方、首都ハルツームを含む残りの60%は国軍の支配下にあり、制空権も維持しています。
RSFの即時拒否と国際社会の思惑
しかし、この提案は即座に壁にぶつかりました。ヘメッティ司令官の顧問であるアル・バシャ・ティビク氏は、和平案を「時代遅れの排他的なレトリックの焼き直し」に過ぎないと一蹴。特にRSFが支配地から撤退するという考えは「政治というよりファンタジーに近い」と述べ、フェイスブック上で拒否を表明しました。
一方、米国、サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)からなる「クアッド」グループは、別の停戦案を推進しています。RSFは11月にこの案を受け入れると表明しましたが、国軍側はUAEがRSFを支援しているとして、偏っていると反発しています。UAEはRSFへの武器供与を繰り返し否定しています。
専門家の冷ややかな視線と終わらない戦闘
専門家からは、今回の和平案に対して懐疑的な見方が示されています。政治アナリストのファイサル・アブデル・カリム氏は、いかなる和平案も対立する当事者であるRSFに受け入れられなければ成功しないと指摘。また、アルジャジーラの取材に応じたアル・ワティク・カメイル氏は、クリスマス休暇という「政治的に停滞した」時期に、国連事務総長も不在の場で発表されたことの有効性に疑問を呈しています。
和平への模索が続く中、現場では戦闘が激化しています。ダルフール地方のエル・ファシール周辺では攻撃がエスカレートし、コルドファン地方では数千人が避難を余儀なくされています。国連によると、スーダン全土で約2100万人が深刻な食糧不足に直面しており、人道状況は悪化の一途をたどっています。
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