中国軍機関紙、「ドローン飽和攻撃」が未来の戦争の鍵と主張
中国軍の機関紙「解放軍報」は、未来の戦争において、多数の低コストドローンによる「飽和攻撃」が勝利の鍵を握るとの論評を掲載しました。その戦略と目指す「非対称な勝利」について解説します。
中国の軍機関紙「解放軍報」は12月23日に掲載した論評で、消耗品であるドローンを使った戦争で勝利を収める鍵は「数的優位に基づく飽和攻撃」にあると論じました。これは、人民解放軍(PLA)が無人システムの開発を加速させる中で出てきた見解です。
低コスト兵器で高価値目標を消耗させる戦略
「無人消耗戦の勝利の方程式を探る」と題されたこの論評は、周暁利、張長方、朱啓超の3氏によって執筆されました(所属機関は明記されていません)。論評の著者らは、未来の戦争では「低コストの無人システムを柔軟に展開し、敵の高価値な戦闘資産を継続的に消耗させる」ことが不可欠だと主張しています。これにより、「最小の戦場コストで最大の戦闘効果を達成する」ことが可能になるとのことです。
具体的には、多数のドローンを集中配備することで、無人システムが「複数の領域と方向で同時に作戦を展開」できると説明。その結果、「敵を受動的な防御と疲弊状態に追い込む」ことができると論じています。
陸と空の連携による「非対称な勝利」
さらに、無人戦闘部隊は複数の戦域で連携できると指摘されています。例えば、地上の無人戦闘車両が火力攻撃と目標誘導を担い、空中ドローンが偵察と支援を担当するといった連携が可能です。このような「日常的、漸進的、持続的な作戦」を通じて、敵を疲弊させることができると見られています。
論評は、無人システムの柔軟性、知能性、多様性を活用することで、「非対称な勝利」をより効果的に達成できると結論付けています。その効果を高めるためには、システムの自律性、連携能力、知能性を向上させるとともに、「伝統的な戦術と無人技術を統合する」必要があるとしています。
この戦略は、高価で高性能な単一兵器から、安価で大量に投入できる消耗型システムへと軍事思想が移行していることを示唆しています。従来の防空システムは、物量で押すドローン群に対して経済的・物理的に対応しきれない可能性があり、世界各国の防衛ドクトリンや兵器調達に大きな影響を与える可能性があります。
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