イスラエル新登録制度、ガザ人道支援に「崩壊の危機」 国連・NGOが警鐘

国連および複数の国際的な援助機関は、イスラエルが導入した国際非政府組織（INGO）に対する新しい登録制度が、占領下のヨルダン川西岸地区とガザ地区における人道支援活動を崩壊させる危険性があると、強い懸念を表明しています。この制度により、2025年12月31日までに登録が完了しない団体は、60日以内にイスラエル国内での活動停止を迫られる可能性があります。

この動きは、特に医療体制が脆弱なガザ地区において、命を救うための医療やその他の必須サービスに深刻な混乱をもたらす恐れがあります。国境なき医師団（MSF）は、もし国際NGOがガザでの活動停止を余儀なくされれば、「パレスチナの人々にとって大惨事となる」と警告しています。

「この決定の見直しを求め、イスラエルの裁判所への申し立ても含め、あらゆる可能な手段を講じています」

国際NGOは現在、ガザ地区の野外病院やプライマリーヘルスケアセンターの大半を運営または支援しているほか、緊急シェルターの提供、水・衛生サービス、急性栄養失調の子どもたちのための栄養安定化センターなどを担っています。国連パレスチナ被占領地人道チーム（HCT）によると、もしこれらの団体が活動を停止すれば、ガザの保健医療施設の3分の1が閉鎖に追い込まれると試算されています。

イスラエル政府は、3月に導入されたこの制度において、以下のような複数の登録拒否理由を挙げています。 - ユダヤ人の民主国家としてのイスラエルの存在を否定する - ホロコーストまたは2023年10月7日のハマス主導の攻撃を否定する - 敵国やテロ組織によるイスラエルへの武力闘争を支持する - イスラエルに対する「非正当化キャンペーン」を推進する - イスラエルへのボイコットを呼びかける、または参加を約束する - 外国または国際的な裁判所でイスラエル治安部隊の訴追を支持する

HCTは、「この制度は曖昧で恣意的、かつ高度に政治的な基準に依存しており、人道支援団体が国際法上の義務に違反したり、中核的な人道原則を損なうことなしには満たせない要件を課している」と強く批判しています。また、国連は登録抹消されたINGOの活動を補うことはできず、人道支援活動が代替されることはないと強調しました。

一方、イスラエルのディアスポラ問題・反ユダヤ主義対策省は、この主張に反論しています。同省によると、約100件の申請のうち、これまでに承認されたのは21件、却下されたのは14件で、残りは審査中です。同省の報道官はBBCに対し、「登録期限はすでに十分な時間を与えて延長した」とし、「人道支援を装い、イスラエル国家を弱体化させることを真の目的とする不正な組織が去っても、援助の提供に影響はない」と述べ、人道支援は中断なく継続されると主張しました。

セーブ・ザ・チルドレンは申請が承認されなかったことを確認しており、国境なき医師団はまだ登録結果を待っている状況です。人道支援の現場とイスラエル政府の間の深い溝が浮き彫りになる中、ガザの市民生活への影響が強く懸念されています。