ミン・ヒジン、次の一手はボーイズグループ。「NewJeansのライバルは作らない」発言に隠されたK-POP新時代の戦略とは？

元ADOR代表ミン・ヒジンが新レーベルOOAKでボーイズグループを始動。「NewJeansのライバルは作らない」発言の真意と、K-POP業界に与える影響を専門家が徹底分析。

業界の寵児か、反逆者か。ミン・ヒジンの次なる挑戦が意味するもの

HYBEとの激しい経営権紛争の末、ADORを去ったミン・ヒジン氏。K-POP業界の最も影響力のあるクリエイターの一人である彼女が、新レーベル「OOAK (One of a Kind)」を設立し、次なる一手を明らかにしました。その一手とは、ボーイズグループのプロデュースです。このニュースは単なる新人デビューの告知ではありません。これは、K-POPのクリエイティブとビジネスの未来を占う、極めて重要なターニングポイントとなる可能性があります。

このニュースの核心

新レーベル「OOAK」始動：ミン・ヒジン氏が独立後、初のプロジェクトとしてボーイズグループの立ち上げを明言。
「NewJeansのライバルは作らない」：ガールズグループではなくボーイズグループを選ぶ理由として、自らが手掛けたNewJeansとの直接的な競合を避ける意図を明確にしました。
クリエイターとしての真価：HYBEという巨大な傘を離れ、彼女自身のビジョンとブランドがどこまで通用するのか、その真価が問われる局面です。
賛否両論の反応：ファンからは彼女の新たな創造への期待が高まる一方、NewJeansが困難な時期にある中での新プロジェクト始動に、複雑な声も上がっています。

詳細解説：なぜ「ボーイズグループ」なのか？その戦略的意味合い

1. 「NewJeans」というブランドの聖域化

ミン・ヒジン氏の「NewJeansのライバルを作る理由がない」という言葉は、額面通りに受け取るべきではありません。これは単なる配慮ではなく、彼女自身が創り上げた「NewJeans」という作品を唯一無二の存在として聖域化する、高度なブランディング戦略です。もし彼女が新たなガールズグループを手掛ければ、メディアもファンも必然的に両者を比較します。それは、NewJeansの独創的な価値を希薄化させかねません。ボーイズグループという全く異なる土俵を選ぶことで、彼女は「NewJeansの成功は再現不可能であり、自分自身でさえそれを超えるガールズグループは作らない（作れない）」という強力なメッセージを発信しているのです。

2. クリエイティブの「順番」と市場分析

「私のいつものスタイルからすると、次はボーイズグループの番」という発言も示唆に富んでいます。彼女はSMエンターテインメント在籍時、SHINeeやEXOといった独創的なコンセプトを持つボーイズグループのブランディングでその名を馳せました。彼女のキャリアを振り返れば、f(x)の後にEXOを手掛けたように、異なる性別のグループを交互にプロデュースするサイクルは彼女の創作活動の一部です。さらに、現在のK-POP市場は第4世代、第5世代のガールズグループが飽和状態にあり、コンセプトの差別化が極めて困難になっています。競争の激しいレッドオーシャンを避け、自身のクリエイティビティを最大限に発揮できるブルーオーシャン（未開拓のコンセプトを持つボーイズグループ市場）を狙うのは、クレバーな経営判断と言えるでしょう。

3. 業界の勢力図への挑戦状

彼女の新ボーイズグループは、必然的にHYBE傘下のBTS、SEVENTEEN、TOMORROW X TOGETHER、ENHYPEN、そして新鋭のTWSなどと競合することになります。これは、ミン・ヒジン氏がHYBEの牙城であるボーイズグループ市場に、正面から挑戦状を叩きつけたことを意味します。彼女がもしここで成功を収めれば、HYBEの市場支配力に風穴を開け、K-POP業界の勢力図を塗り替えるゲームチェンジャーとなる可能性を秘めています。

PRISM Insight: K-POPにおける「クリエイターエコノミー」の本格化

ミン・ヒジン氏の独立と新レーベル設立は、K-POP業界における「クリエイターエコノミー」の本格的な幕開けを象徴する出来事です。これまでK-POPの成功は、大手事務所という巨大なプラットフォームの力に大きく依存していました。しかし、彼女は「ミン・ヒジン」という一個人のクリエイティブ・ブランドを資本に、人材と資金を集めようとしています。

これは、YouTubeやTikTokで個人クリエイターが巨大な経済圏を築くように、K-POPの世界でも「個」のクリエイターが事務所という枠組みを超えて独立し、巨大なIP（知的財産）ビジネスを展開できることを証明する試金石です。彼女が言及した「アイドル以外の新しいプロジェクト」も、音楽に留まらない包括的なカルチャーブランドを構築しようとする野心の表れでしょう。「OOAK (One of a Kind)」というレーベル名は、まさにその唯一無二のビジョンを体現しています。彼女の成功は、業界の才能あるプロデューサーやクリエイターたちに、新たなキャリアパスを示すことになるかもしれません。

今後の展望：待ち受ける3つのハードル

ミン・ヒジン氏の前途は決して平坦ではありません。今後の動向を占う上で、以下の3つのポイントが重要になります。

人材の確保：彼女のビジョンを具現化できる、ダイヤモンドの原石のような才能を発掘できるか。オープンオーディションの成否が最初の関門です。
コンセプトの革新性：NewJeansで時代を定義した彼女が、ボーイズグループで再び世界を驚かせるような革新的なコンセプトを提示できるか。期待値が極めて高い分、プレッシャーも計り知れません。
資本と流通の壁：HYBEのような巨大資本の後ろ盾なしに、グローバルなプロモーションと流通網をいかに構築するか。強力なパートナーシップを築けるかが、成功の鍵を握ります。

K-POPの歴史は、常に革新と反逆の繰り返しでした。ミン・ヒジン氏の新たな挑戦が、業界に創造的破壊をもたらすのか、それとも巨大なシステムの前に屈するのか。世界中のファンと業界関係者が、固唾をのんで彼女の次の一手を見守っています。