米下院、ベネズエラへの軍事行動阻止法案を提出 トランプ政権の権限に「待った」
米民主党のセス・モールトン下院議員が、トランプ政権によるベネズエラへの軍事行動に連邦予算を使用することを禁じる法案を提出。大統領の軍事権限を巡る議会との対立が鮮明に。
2025年12月23日、米国の民主党所属、セス・モールトン下院議員が、トランプ大統領によるベネズエラへの軍事行動に連邦予算を使用することを禁止する法案を提出しました。NPRの報道によると、この動きは、大統領が持つ軍事権限に対し、議会としての監督機能を再確認しようとするものです。
背景:議会と大統領の権力闘争
この法案は、トランプ政権がベネズエラに対して強硬な姿勢を見せる中で提出されました。米国憲法では、戦争を布告する権限は連邦議会にありますが、大統領は軍の最高司令官としての権限を持ちます。この権限の分担は、特に大統領が議会の承認なしに軍事行動を開始しようとする際に、繰り返し政治的な論争の火種となってきました。
法案の狙いと今後の見通し
モールトン議員が提出した法案の核心は、「予算」という議会の最も強力な権限の一つを行使して、大統領の行動を縛る点にあります。連邦予算の使用を禁じることで、議会の明確な承認がない限り、大規模な軍事介入を事実上不可能にすることを狙っています。ただし、法案が議会を通過し、成立するかは依然として不透明です。議会内の党派対立や、大統領の拒否権行使の可能性も考えられます。
今回の法案は、単にベネズエラ情勢を巡るものだけではありません。これは、行政府(大統領)の外交・軍事権限の拡大に対し、立法府(議会)が憲法上の権限を再確認しようとする、米国政治における古典的な権力闘争の構図を映し出しています。法案の行方は、今後の米国の対外政策決定プロセスにおける議会の役割を占う試金石となるでしょう。
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