コノコフィリップス、マラソン・オイルを225億ドルで買収へ ― 米シェール業界に再編の最終章か
米石油大手コノコフィリップスが、マラソン・オイルを負債込み225億ドルで買収すると発表。米シェール業界で続く大型再編の最新動向と、投資家への影響を解説します。
米石油・ガス大手のコノコフィリップスは2024年5月29日、同業のマラソン・オイルを全株式交換方式により買収することで合意したと発表しました。マラソン・オイルが抱える54億ドルの純負債を含め、買収総額は225億ドル(約3兆5300億円)に上ります。
この取引は、米国のシェールオイル業界で加速する大型再編の波に乗るもので、エクソンモービルによるパイオニア・ナチュラル・リソーシズ買収や、シェブロンによるヘス買収に続くものです。ライバルたちが規模を拡大する中、コノコフィリップスも競争力を維持するため、有力な掘削地を確保する動きを活発化させています。
取引の概要
合意内容によると、マラソン・オイルの株主は、保有する1株あたりコノコフィリップスの普通株式0.2550株を受け取ります。これは、買収発表前日の2024年5月28日のマラソン・オイル株の終値に対し、14.7%のプレミアム(上乗せ価格)を意味します。取引は2024年第4四半期に完了する見込みです。
コノコフィリップスのライアン・ランス最高経営責任者(CEO)は、「この買収は、当社のポートフォリオをさらに深化させ、米国の低コスト供給源を増強するものだ」と声明で述べています。同社は、テキサス州のイーグルフォードやパーミアン盆地、ノースダコタ州のバッケンなど、主要なシェール資源地帯での地位を強化することになります。
株主還元とシナジー効果
コノコフィリップスは、この買収によって大きな財務的メリットを見込んでいます。同社によると、買収完了後の最初の1年間で、少なくとも5億ドルのコストおよび資本のシナジー(相乗効果)が生まれるとしています。
さらに、同社は株主還元を大幅に強化する計画です。・買収完了後の1年間で70億ドル超の自社株買いを実施。・今後3年間では、合計200億ドル以上の自社株買いを計画。・2024年第4四半期から、普通株式の配当を34%引き上げ、1株あたり78セントにすると発表しました。
この発表を受け、市場ではマラソン・オイルの株価が8.7%上昇した一方、買収側であるコノコフィリップスの株価は3.3%下落しました。これは大型買収発表後によく見られる動きです。なお、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、デボン・エナジーもマラソン・オイルとの交渉を進めていたと報じられており、マラソンが市場で魅力的な資産と見なされていたことがうかがえます。
今回の買収は、米エネルギー業界における「規模の追求」が最終局面に入ったことを示唆しています。各社はエネルギー転換の長期的な不確実性に備え、最も低コストで高品質な石油・ガス資源を確保し、効率化を通じて株主還元を最大化する戦略に舵を切っています。投資家にとって、これは投機的な探査よりも安定したキャッシュフローと配当を重視する企業が増えることを意味します。ただし、規制当局による独占禁止法審査が、今後の業界再編のペースを左右する重要な変数となるでしょう。
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