2025年ネットスラング大解剖:「オーラファーミング」から「ミューイング」まで、Z世代の流行語をPRISMが解説
2025年のインターネットを席巻した最新スラングをPRISMが解説。「オーラファーミング」「ミューイング」「クック」など、Z世代とアルファ世代が使う言葉の背景にあるデジタル文化を読み解きます。
2025年も、インターネットはその予測不可能なスピードで新たな言葉を生み出しました。これらのスラングは、単なる流行り言葉ではありません。目まぐるしく変化するデジタル社会における、若者たちのアイデンティティや創造性の表現そのものです。TikTokやTwitchを席巻し、Z世代とアルファ世代の会話の中心となった今年の重要スラングを、PRISMが徹底解説します。
今年特に目立ったのは、自身の存在感や魅力を高める行為を指す言葉です。その代表格が「aura farming(オーラファーミング)」です。これは、人々を惹きつける磁力のようなエネルギー、すなわち「オーラ」を意識的に育てることを意味します。自信に満ちた態度や圧倒的なカリスマ性で周囲を魅了し、影響力を高める行為を指します。アニメ『俺だけレベルアップな件』の主人公、水篠旬(Sung Jinwoo)は、その象徴としてインターネット上で崇められました。
また、「mewing(ミューイング)」は、もともと舌の位置で顎のラインを整える美容法を指す言葉でしたが、2025年にはティーンの男子生徒を中心に「授業に参加しない言い訳」へと進化しました。「ミューイングに集中しているので話せません」というわけです。さらに、「mogger(モッガー)」は、隣に立つだけで他人を「背景」にしてしまうほど容姿が優れた人物を指す言葉として定着しました。
スキルや成果を表現する言葉も豊かになりました。「let me cook(俺に料理させろ)」は、「これからすごいものを見せてやる」という意気込みを示す決まり文句です。一方で、「I'm cooked(もうおしまいだ)」は、万策尽きた、燃え尽きたという真逆の状況を表します。
称賛の言葉も進化しました。「ate(完食した)」は、完璧なパフォーマンスや見た目への最上級の賛辞です。「leaving no crumbs(パンくず一つ残さない)」と続けば、非の打ち所がないことを意味します。この言葉はLGBTQ+コミュニティ、特に黒人やラテン系のボールルームカルチャーが発祥です。さらに、「chewed(噛んだ)」や「nibbled(かじった)」のように、完璧には及ばないものの素晴らしい、といった段階的な評価表現も生まれました。
特定のコミュニティで生まれた言葉が、全く新しい意味を持って広まる現象も加速しています。Twitch配信者Fanumの悪ふざけから生まれた「Fanum tax(ファナム税)」は、友人の食べ物を一口奪う行為を指す言葉でしたが、今ではあらゆる状況で皮肉を込めて使われます。
同様に、「gooning(グーニング)」は元々、特定の性的嗜好を指すニッチな言葉でしたが、現在では性的かどうかに関わらず、何かに恍惚状態で没頭することを表す言葉として広く使われています。ミームに夢中になったり、好きな番組を何度も見返したりする状態も「グーニング」と表現されるのです。これは、Z世代が専門用語をユーモアや自己パロディに転用する傾向を象徴しています。
2025年のネットスラングは、単語が持つ本来の意味から急速に離れ、「ミーム」として文脈自体が消費される傾向を強めています。これは、ニッチなコミュニティの言葉が主流に躍り出る速度が加速している証拠であり、デジタル空間における文化の借用と再創造のサイクルがこれまで以上に短くなっていることを示唆しています。
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